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本にまつわるエッセイ

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#小説

ハクビシンの夜

ハクビシンの夜

これは、わたしの家でおこった不可思議な音にまつわる文章と、
不思議な現象について書かれた本の紹介です。

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床下で、いきなり獣がもつあって暴れるような騒然たる音が起こった。それはそのまま床下を猛スピードで移動し、居間に続く台所のシンクの下辺りにドカンとぶつかった。
そろそろ春になろうかというが肌寒い、夜のことだった。

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わたしたちは未来にいる

わたしたちは未来にいる

フロントガラスの下、インパネに並んだ計器類の端にある縦に伸びた隙間に、CDが直接入っていくのを見て、思わず
「うおお」
と、唸り声が出てしまった。
自宅のオーディオは本体から差し出される薄い皿にCDを乗せる仕組みだったので、このように円盤だけが宙に浮くようにして吸い込まれるさまは、わたしには近未来を舞台にした映画のように見えたからだ。
「なによ」
運転席でハンドルを握ったまま、娘が横目で問う。

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モツのスープからの学びとキャシーアッカー

モツのスープからの学びとキャシーアッカー

中途半端な悩みを吹き飛ばすパンクな本を知りたいかたへ。

これは、絵描きで52歳のおばさんで書店主のわたしが、
ダイエットを続ける日々の中体験した少し不気味な出来事と、
中途半端な悩みなど吹き飛ばしてしまうパンクな本の紹介です。

ダイエットに良いと聞いて毎日牛肉のスープを飲んでいるのですが、その味にも飽きてきました。そんなわたしの目にとまったのは、お肉屋さんの隅につつましく置かれてあったパックに

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これは、つまらない仕事をはかどらせる、わたし独特のコツについての文章と、
一生かけて大切に読みたいと思っているスパイの登場する本の紹介です。

これは、つまらない仕事をはかどらせる、わたし独特のコツについての文章と、 一生かけて大切に読みたいと思っているスパイの登場する本の紹介です。

わたしの仕事道具であるノート型マッキントッシュはクリック機能が壊れ、マウスがないと動かなくなってしまいました。
そして毎朝、ちょうど1km離れた場所にある仕事場ペレカスブックへ徒歩で出勤する際、マッキントッシュをリュックに入れて運ぶのですが、結構な頻度でワイヤレスマウスを自宅に置き忘れてきてしまうのです。
いくら高性能のPCが目の前にあってもクリックできない以上、スイッチであるマウスがなければ何も

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