Take-34:映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒【Episode7】(2015)』は面白かったのか?──新三部作スタート時の思い出
【映画のキャッチコピー】
『目覚めよ──』
【作品の舞台】
オリジナル・トリロジーであるエピソード6『ジェダイの帰還(1983)』から30年後の設定(リアル・タイムでは32年経過)となっている。
つまり『フォースの覚醒』はその30年後、コルサント紀元歴8011年頃ということになりますね。
【原題】
『Star Wars: The Force Awakens』
【上映時間】136分
皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか?
𓃠N市の野良猫ペイザンヌです。
5月4日は『スター・ウォーズ』の日ということで今回はエピソード7『フォースの覚醒』時の思い出などを。
さて『スター・ウォーズ』といえば
エピソードⅠ〜Ⅲ:プリクエル・トリロジー
エピソードⅣ〜Ⅵ:オリジナル・トリロジー
エピソードⅦ〜Ⅸ:シークエル・トリロジー
という呼び方があります。
エピソード7にあたる本作『フォースの覚醒』はシークエル・トリロジーの1作目となりますね。
今回はこちらを劇場初公開時に観た時のこと。この新しい新シリーズが始まったことについてどう思ったかを書いていこうと思っております。
公開時は昔から見ている思い入れのあるファン層もいれば今回が初見というという方もおり、賛否両論が分かれてしまっている様子でありました。
噂では産みの親ジョージ・ルーカス当人ですら「S.W.をディズニーという奴隷商人に売却してしまった」と言ってしまったことも話題となりました。
ボクですか? ボクはといえば前者であり、S.W.といえば公開一年前から続々と入ってくる情報に胸踊らせ、見終わった後といえば様々な感想を読み漁るようなコアな部類に入ると思います。
だからこそでもあると思いますが、私も見終わった後に首を傾げてしまったのですね。
当時、真っ先に思ったのは(どこかにも書いてあったけど)何故、それほど往年のファン層に媚びるような“つくり”にしてしまったのか?──ということでしたね。
「嫌な予感がするぜ……(I have a bad feeling about this)」といった今まで全作に出てくるお馴染みの台詞までもがなんだかまるで笑点での林家こん平のお決まりの台詞「え~私の鞄にはまだ空きがございます」のように聞こえてきたり、わずか三十年ぽっちで惑星並の宇宙要塞を作り上げる技術があるくせに、相も変わらず遠隔シールドみたいなのを外されては簡単にやられてしまう水戸黄門ばりのお決まり展開にやや辟易したり……
なぜだ? どうしてキミらはそこを学ばない? 何度同じ手口でやられる? などと、本来であれば新卒一年目の若手社員にかけるべき言葉を何故ファースト・オーダーなる武装プロ軍団に対して思わねばならないのだろうとやや目を細めている自分がいたり。
もちろん「よっ待ってました!」の嬉しさもあるんですよ。ただ、当時は……なんだろう、主人公やヴィランも大幅変更ということで、これまでとは全く違った新しいスター・ウォーズを魅せてくれるのではないか?──という過剰過ぎるほどの期待があったのかもしれません。他の映画なら「まあええんちゃう」でも済みましょうが、逆に言えばそれほどスター・ウォーズというサーガが好きなのである──ということはおわかり頂きたいところ。
なんだか観賞後の夜は虚脱感と共に苛立ちに包まれてしまいました。が、翌朝になるとやはり無性にもう一度見たくなるわけで。
某有名「郎」のつくラーメン店でブタWのヤサイマシマシを腹一杯食って気持ち悪くなった挙げ句『二度と行くか!』と思いつつも翌朝になるとまたなぜか食いたくなってしまう彼らの気持ちが少しわかるような気がします。
と、いうより一夜明けてしまえば「この映画はこうするしかなかったのではないか?」 ──いやいや、むしろこれだけ世界から期待されまくった大イベントをよくもまあここまでうまくまとめたものだ、という気持ちにまで昇華されたわけで。
チェーン店が拡大し肥大化したラーメン屋だって裸一貫の初心に帰るのはきっと難しいに違いない。てか、なんで私はさっきからラーメンとスターウォーズを必死に比べようとしてんだろなと思われるかもしれないがそれは今現在少し腹が減っているだけなのでお気になさらず。
つまり言いたいのはオーナーと観客の板挟みとなり、けれどそんな中で店の伝統である経営方針、はたまた最大限の顧客満足、あるいは社訓などを守りつつ、さらには売り上げまで叩き出してしまったJ.J.エイブラムス新店長というのはかなりのやり手ではないのか、と。そう、それそれ。それが言いたかったわけです、たぶん。
一番気にかかったのは主人公たちしかり、敵までもが微妙に弱いところ、というか強くないところ。それはキャラが弱いというわけでなくホントに皆、人間的に弱いんですよね。
時にオタオタしたりオドオドしたり、しまいにはブチ切れたりと皆、未熟。
しかもスターウォーズ・シリーズ最大の見せ場であるはずのライトセーバーの戦いが今までのシリーズの中でなんだか一番格好悪い気がする。なんだか見てるこっちがヒヤヒヤするくらいに危なっかしい。まるで子供の喧嘩をはたから見てる親の気持ちになってくる。
でもそれはしかたない。
だって未熟なんだもの……
で、結局今回においては『俺たちの戦いはここから始まるんだ!』といった打ち切り漫画の最終回のごときラストで終わっちゃうわけだから、見てるこっちだってそりゃ不完全燃焼になるってもの。
まあ、これは物語でよくある“成長するための前過程”であり、きっと心配せずとも次回作では定番の通過儀礼なんかが始まってメキメキ強くなっていくのでしょう。いま弱ければ弱いほどそのカタルシスは大きいわけだしね、うん。
ただ、そのカタルシスを二時間半かけた一本の映画の中で解放できなかったジレンマがどうしてもジレジレと残る。やがてそのジレジレがモヤモヤと成長しモンモンとなる。きっとそれがボクをあの夜苛立たせた原因に違いない。TVドラマだったら一週間待てばいいわけだけどこのシリーズの場合続きは二年後。それまでジレモヤモンですわ。
結局、往年ファン層の否定派だってなんだか途中で放り出された感があってモヤモヤしてるだけなのだろう。裏を返せば私と同じで「ふざけんな、もっと見せろ! 早く見せろ!」という愛情の裏返しだったのではないかと思います。これまで見続けてきたファン達が今回のあのラストを見せられて「もう次回からは見ない」なんてことはおそらく“ありえない”のだから。
こりゃ三部作全部を見終えてみないとわからんですわというのが、当時の正直な感想でしたね。
そういえば、このエピソード7を死ぬ前にどうしても観たいという余命わずかな一人のファンの要望に応え、スタッフが公開前のラッシュを見せてあげたという美談がありました。それと同じくこの三部作を見終えるまで自分が生きていられる保証なんてどこにもないよなぁ……なんて思ってましたが──しぶとくまだ生き残ってましたね。
なんだかんだいっても二時間半があっという間に過ぎてしまっていたことは否めない本作。それにまさかあの有名なオープニング・タイトルが3Dでスクリーンの奥へどひゅ〜んと流れていくのをまさか本当にこの目で見ることができる日がくるとは想像もしてませんでしたわ。ヒシヒシと時の流れを感じましたね。
というのも、実はボク、この時が劇場用実写映画で初めての3D体験だったのですよ。ハイ、この時まで頑なに「映画は2Dで十分!」とこだわっておりました(汗
「最近の3Dは奥行きが凄ぇな!」と興奮したのを覚えてます。飛び出すことばかりを主張していた一世代前(赤と青のあの3Dメガネね)とは大違いで奥行きというものに重きを置いているためか臨場感に溢れ、ヴーチャル並みにその世界にどっぷり浸れるのはすごい──と。
ただ、あのトンチキメガネをかけている時の画面の暗さだけはなんとかならないものか……というのがまだまだ不満。まあよほどのことがない限り映画は2Dで十分だと今でも思っている派なのですが、その反面、どうせやってくれるならとことん進化形を拝んでみたいなという願望もあったりするんですよね。
あ、そうそうこの頃ってまだあのトンチキメガネ、レンタルだった記憶がハッキリ残ってるんですが……そうですよね? そんな時期ありましたよね? 帰り際に館員が箱で回収しており、それに戻した覚えあるのですが……
もし「おまえの記憶違いだよ」というような方がいらっしゃいましたらコメント、もしくはXのDMなどで御一報くださいませ。
ちなみにこれはトリビアですが『フォースの覚醒』はこのオープニング・クロール、それまでのクロールとは「実はフォントが違っている」という記事も見つけました。へぇ〜。て、気付かんわ、こんなん!w
御興味があればそちらも。下記のリンクから飛べます。
●『フォースの覚醒』のオープニング・クロール
●『帝国の逆襲』のオープニング・クロール
さて最後に、この『フォースの覚醒』から始まる『最後のジェダイ(2017)』『スカイウォーカーの夜明け(2019)』、三本のシークエル・トリロジー。
ストーリー的には単なるリメイクだとか焼き直しだとか、酷いものになると劣化だとか「やりなおせ!」などとも言われてたりもしますが、そもそもこれは少年の頃にスターウォーズで胸踊らせたお父さんが、今度は自分の息子や娘と一緒にあの時の冒険をするための映画であると思えばよいのではないか、と。
これは最近だと『スーパー・マリオブラザーズ・ムービー(2023)』のアニメや『ゴーストバスターズ』の新シリーズ(『アフター・ライフ(2021)』や『フローズンサマー(2024)』)などの時にも同じようなことを書いた気がします。
お父さんにとっては二度目だけど子供にとっては初めての冒険。その“繰り返し”をそっと見つめていること──それこそがそもそも『スターウォーズ』のテーマであり、本来のエピソードであり、きっと大きな醍醐味なのであるのだとボクは思っておりますが、皆様はどうお考えでしょうか。
では、また次回に!
【スター・ウォーズ/フォースの覚醒(エピソード7)】
【スター・ウォーズ/最後のジェダイ(エピソード8)】
【スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)】
【スター・ウォーズ9枚組コンプリート・サーガ(エピソード1〜9)】
【スターウォーズ:プリクエル・トリロジー(エピソード1〜3)3枚組】
【スター・ウォーズ:オリジナル・トリロジー(エピソード4〜6)】
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