#読書の秋2022 江戸川乱歩
本日は江戸川乱歩の生誕日ということらしいので、取り上げないわけにはいかないだろうということで乱歩作品のことを少し書いていこうと思います。
江戸川乱歩と聞いて浮かびやすいのは『明智小五郎』と『孤島の鬼』が大きいと思いますが、実は自分はこの二本柱があまり得意ではありません。
D坂で初登場した明智小五郎はぼさぼさの書生姿として描かれていましたが、以降がなんというか自分の目には『完璧すぎる』というのが目立ってしまい、あと明智ものではないと思ったところに終盤突然現れて「結局明智小五郎が解決することにするのか」となってしまったことが原因ではあります。
『孤島の鬼』に関してはシンプルに「大団円カナー?」というラストに引っかかるという割りといる気がするタイプのためです。
なので、乱歩作品で印象深いのは幻想小説が主になります。
白昼夢、目羅博士、鏡地獄、などなど。
幻想的に見せてラストにどんでん返しがくる人間椅子や赤い部屋も外せません。
インパクトがあまりにも強烈すぎたのは『蟲』でしたが、これが好きだと言うと内容を知っている人には「⋯⋯え?」と言われますが気持ちはわかるのでその反応は受け入れます。
そしてヘッダーにも添えましたがわたしにとって『乱歩作品』はほぼイコールこれがすべてです。
春陽堂江戸川乱歩文庫。
多賀新さんの銅版画を使用した黒一色の装丁で統一されたこのシリーズを本屋で見て棚の端から端までほぼ一気に買ったことも懐かしいです。
なので、これに収録されていない少年探偵団ものなどは実はあまり触れていません。
自分にとっての乱歩はこの本に収められている幻想作品がそれだけ多くを占めているからです。
映画化されたものもいくつかは見ていますが、良くも悪くも突き詰められた曰く付きの『人でなしの恋』は個人的に忘れられません。
あれはさすがにディスク化も配信もされないだろうなあとは思いながら最後のセリフ
「わたくしの、勝ちでございます」
が、いまだに脳裏に浮かびます。
谷崎潤一郎に憧れたがなれなかったなどの逸話も近年知りましたが、お互いに現在は青空文庫に同時期に解禁となったので「名前は知っているけれど」の方はよろしければそちらよりどうぞ。