パウレタ/建築を小説化してみたい建築士

自分で建築設計事務所を営んでいる建築士です。仕事の合間にnoteで建築に関する小説やエッセイの執筆を試みています。 ブログ「パウレタの建築仕事とその周辺」https://pauleta-work.net/

パウレタ/建築を小説化してみたい建築士

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最近の記事

AI共作断念小説『ある建築家との対話』

どうしてもAIと親和性がとれずに完成に至った小説となりました。 おそらくその理由は、この作品にノンフィクションの要素が多く含まれていたからだと思っています。 以下投稿する作品「ある建築家との対話」が、建築を志す方々のどこかに引っかかりを受けるものであれば、それはこの物語が私の中にあるひとつの真実であることを表していることにほかなりません。 -------------------------------------------  ぼくは敬愛していた建築家との再会を、彼の設

    • 『マネキンのいるオフィス風景』あとがき

      <最初に>  第3弾の小説作品も「AIのべりすと」と共同で制作いたしました。  今回も作品投稿後に制作した作品のプロセスを綴っていきたいと思います。それがこの作品を生んだあかしにもあると思います。  今回のあとがきもまた、執筆のモチベーションになればと思い、投げ銭的に100円設定させていただきます。  どうぞよろしくお願いいたします。

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      • AI共作小説『マネキンのいるオフィス風景』

         均質な空間。白と半透明なガラスによって、このオフィス空間は完結している。どうも洗練され、それが研ぎ澄まされている空間っていうのは水のなかにいるようだな。とぼくは思った。まるで水槽だ。ここは。  部屋の中央には6つのデスクがくっついて島になっており、マネキンが3体近くに置かれていた。ぼくはその中の女性の姿をした1体と向き合って名刺を渡す真似をした。 「木のいいにおいがしますね。名刺に香りがついているのっていいですね。細やかなお気遣いです」  そうマネキンが言ってくれるのをぼ

        • 『パーキングにかこまれて』あとがき

          <最初に>  第2弾の小説作品も「AIのべりすと」と共同で制作いたしました。  今回も作品投稿後に制作した作品のプロセスを綴っていきたいと思います。それがこの作品を生んだあかしにもあると思いますので。  今回のあとがきもまた、執筆のモチベーションになればと思い、投げ銭的に100円設定させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

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          AI共作小説『パーキングにかこまれて』

           近隣の古いビルが解体されると、跡地は必ず駐車場となり、「公営パーキング」という看板が掲げられた。いつのまにか周辺は濃淡をなすグレーのパッチワークが広がっている。こんなにパーキングっているのだろうか。道路を行き交う車の量とは対照的に、そこには車がひとつも駐車されていない。  ぼくが勤める保険会社の代理店はパーキングに囲まれた古いビルの2階にある。会社は社長とぼく2人だけ。1階にはビルのオーナーさんの事務所とビル関係者専用の駐車スペースがある。  オーナーさんは言う。 「昔こ

          AI共作小説『パーキングにかこまれて』

          『建築と都市とフタ』あとがき

          <最初に>  建築と都市に関する小説を定期的に書いていきたいなといつも思っていました。でも、なかなか仕事に追われて筆が進まない毎日でした。おそらく理由は書いた小説の内容を誰かが揉んでくれないという点が一番大きかったからだと思います。  あと、文章が進まないときに助言がないということ。  ある日AIが文章を書いてくれるソフト「AIのべりすと」というものを知りました。ちょっとした文章設定などでAIが文章を紡ぎ出してくれる面白いソフトです。このソフトをパートナー編集者のような存

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          『建築と都市とフタ』あとがき

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          AI共作小説『建築と都市とフタ』

           私は地方新聞社の知人編集者から、いくつか建築を見て周ってそれらを題材にした短編小説を書いてほしいといわれた。私は建築を見るのがどちらかというと好きだったし、それに何よりも原稿料がははずむともいわれた。断る理由はない。それで引き受けることにした。  建築案内役は今売り出し中の気鋭建築家であった。  取材当日、彼は私の希望を訊きながら次々と建築を見せて回ってくれた。 彼の案内してくれる建築はどれも素晴らしかったが、その中でとても印象に残った建築があった。  その建築は彼が最

          AI共作小説『建築と都市とフタ』

          パウレタの建築学科日誌7~線を引く~

           現在ではCADを使って建築の設計図面を描くのがほとんどだ。でも大学はアカデミックなことからやはり教える。製図板を買って、紙にシャーペンで書く。当時はそれがかっこいいと思っていたぼくであったが、いざやってみると時間がけっこうかかるし、なかなか地味な作業だ。もしCADが存在していなかったら、ぼくは建築設計という仕事を生業にしていこうと思っただろうか。

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          パウレタの建築学科日誌7~線を引く~

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          雑文~煮たリンゴ

          私がリンゴが好きだ。 シャクシャクしてて、甘酸っぱくて。 しかも切ったときの断面に蜜があるときなんか最高だ。あの色最高。美しい。 そんなリンゴ、煮てよいものだろうか。 私は煮たリンゴを食べることができない。くた~っとした甘い味が昔から苦手だ。 アップルパイ?あれもだめ。 シナモンがかかっててあれが最高?いやいや、シナモン?あの香りがダメ。 でも大人になると食べなければいけない場面もくるのだ。 ある日仕事先でお世話になっている方と飲んでいた。 その人は甘党で、

          雑文~トマトカレーの妖精

           私はカレーをよくつくる。  でも、つくる工程の途中でついトマトを入れてしまう。  カットトマトの缶を開けて、がばっと。  普通につくろうつくろうと思っていても、戸棚を開けて、カットトマトを無意識に探している。  なぜなのだろう。  おそらく私がたまねぎを炒めたり、肉を炒めたりしているときに、トマトカレーの妖精が私に語りかけてくるのだ。 「トマト缶ありますよ」とか 「そろそろじゃない、トマト」とか  カレーにはスパイスが必要だが、ファンタジーも必要なのだろう。

          パウレタの建築学科日誌6~アートか建築か~

          「私はちょっと評価はできないかな」 ウエサカ先生はカザマくんの作品を見ながら言った。ぼくの大学は、卒業設計というものを制作して論文がわりに発表することで卒業できる。今は発表会の後に教官陣と学生が設計作品について議論を重ねるポスターセッションが行われていた。

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          パウレタの建築学科日誌6~アートか建築か~

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          パウレタの建築学科日誌5~キャッチーなタイトル~

           ぼくらはいつも自分が設計した建築作品にタイトルをつけたがる。なぜなんだろう。そうすることで作品に自分の魂がこめられる気がするのだろうか。いや、そういうんじゃない。それを考えるのがただ楽しいだけなのだ。

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          パウレタの建築学科日誌5~キャッチーなタイトル~

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          パウレタの建築学科日誌4~パクリ~

          「おい、パクんじゃねえよ」 ぼくは隣で図面を描いていたトモユキに言った。そのときぼくらは半日で設計作品を完成させるという、即日課題というものに取り組んでいた。お題はとある公園内にある公衆トイレ。ぼくは有機的な植物が生い茂る公園のなかで、ピラミッド型のトイレを設計していた。 「え?べつにさ、描く人の手が違えばさあ、同じかたちでも似てなくみえるって」 まあ、このトモユキの言葉にぼくもどこか納得してしまう部分はある。どんなに有名な作品をパクったとしても、その人が引いた線でその作品に

          パウレタの建築学科日誌4~パクリ~

          雑文~最新データ

          「なあ、このあいだ修正お願いした○○計画の図面データくんない?」 会社の後輩に言うと彼は、 「あ、ばっちり直しておきましたよ。スタッフ共有フォルダに入れておきました!最新データって名前にしてます」 と威勢よく返した。 ぼくは共有フォルダを開く。 『○○計画最新データ』 『○○計画最最新データ』 『○○計画これが一番最新データ』 『○○計画これが本当の最新データ』 『うそうそ○○計画これが本当の最新データ』 『いやいや○○計画これが本当の本当の最新データ』 『わっはっは!ひ

          パウレタの建築学科日誌3~カップル~

           建築学科内でできる男女カップルは、女子のほうが設計や成績が優秀だ、という例が多い。ぼくとワカナもそうだった。ちなみに前回の日誌に書いたニラサワ先輩は別格なので、それはこの話ではおいておこう。  なんだろう、ワカナとつきあっていたころは、建築に対する野心みたいなものが吸い取られていく感じがした。大学3年にあがって設計ができるようになってきたころ、 「いけるぞおれ!やってやろう!」 なんて思っていたものが、ワカナとつきあってから、彼女にそれが奪われていくような感じ。ワカナは真

          パウレタの建築学科日誌3~カップル~

          パウレタの建築学科日誌2~スリーピート~

           スリーピートという言葉を知っているだろうか。3年連続優勝という意味だ。バスケットボールが好きな人はこの言葉にピンとくるかもしれない。今から20年近く前、バスケットボールリーグの最高峰NBAにはバスケの神様が存在した。マイケル・ジョーダンだ。彼が所属していたチームはシカゴ・ブルズ。このチームで3連覇を果たし、彼は引退した。そこからこの言葉は生まれている。  ぼくの大学の建築学科にもスリーピートを達成した人物がいた。ニラサワ先輩だ。彼はぼくの1つ上の学年で、研究室の先輩であり

          パウレタの建築学科日誌2~スリーピート~