雑文~トマトカレーの妖精

 私はカレーをよくつくる。

 でも、つくる工程の途中でついトマトを入れてしまう。

 カットトマトの缶を開けて、がばっと。

 普通につくろうつくろうと思っていても、戸棚を開けて、カットトマトを無意識に探している。

 なぜなのだろう。

 おそらく私がたまねぎを炒めたり、肉を炒めたりしているときに、トマトカレーの妖精が私に語りかけてくるのだ。

「トマト缶ありますよ」とか

「そろそろじゃない、トマト」とか

 カレーにはスパイスが必要だが、ファンタジーも必要なのだろう。

 昨日私はまたカレーをつくった。

 買い物のとき、すでにトマトカレーの妖精は私の背後にあらわれていて、
「戸棚のなかにもう、トマト缶ありません。97円で売ってましたよ」
そうささやいてくれた。

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