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運動と褐色脂肪細胞
▼ 文献情報 と 抄録和訳
運動は肥満による肩甲骨間褐色脂肪組織における褐色アディポカインの発現異常を抑制する
Sakurai T, Fukutomi T, Yamamoto S, Nozaki E, Kizaki T. Physical Activity Attenuates the Obesity-Induced Dysregulated Expression of Brown Adipokines in Murine Interscapular Brown Adipose Tissue. Int J Mol Sci. 2021 Sep 27;22(19):10391.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
✅前提知識>>>引用文献
アディポカイン
・脂肪細胞から産生・分泌されるさまざまな生理活性物質の総称。従来、アディポサイトカインの名称でも用いられてきた。「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は細胞間生理活性物質を意味する複合語である。
[背景・方法]
近年、熱産生能力の高い褐色脂肪組織(BAT)が成人でも存在することが確認され、肥満や生活習慣病の予防・改善のための焦点となっている。しかし、肥満や身体活動(PA)が、BATから分泌される流動性因子(褐色アディポカイン)に与える影響については、よくわかっていない。そこで本研究では、褐色アディポカインに着目し、肥満とPAの影響を調べた。
[結果]
✓高脂肪食を4カ月間摂取した肥満マウスの肩甲骨間BATでは、HB2褐色脂肪細胞から分泌されるガレクチン3(Lgals3)やLgals3結合タンパク質(Lgals3bp)などの遺伝子流動因子の発現異常が認められた。
✓PAは、これらの遺伝子の発現異常を減弱させた。
✓さらに、肥満マウスのBATでは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1-αなどの褐色脂肪細胞の分化に関わる因子の遺伝子発現も低下していたが、PAはこれらの因子の発現低下を抑制した。
✓一方、Lgals3を過剰発現させたHB2細胞では、脂肪生成が対照細胞に比べて増加し、Lgals3bpを過剰発現させるとミトコンドリア量が減少していた。
[結論]
これらの結果から、PAは肥満に起因する褐色脂肪細胞の発現異常を抑制し、Lgals3およびLgals3bpが褐色脂肪細胞の分化に関与していることが示唆された。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅要するに、痩せたいなら運動せよ、ということだろう。
一方、以前に、褐色脂肪細胞と飲料に関する記事を挙げた。
もちろん、運動せずにコーヒー飲んでいれば痩せる、とは思わない。だが、褐色脂肪細胞を刺激する因子をいくつか組み合わせることで、もしかすると、しっかりとした運動はしなくても、痩せやすい体質になるのではないか?と感じた。
また、今のところは、運動・寒冷暴露・食事と褐色脂肪細胞への影響を、個別に調べている研究が多い。今後はこの中でどのような組み合わせが、褐色脂肪細胞へのよりよい刺激となるのか解明されていくと面白い。
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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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