水泳と肩の痛みに関するシステマティック・レビュー
▼ 文献情報 と 抄録和訳
競泳選手の生涯を通じた水泳トレーニング量と肩の痛み-システマティック・レビュー
Feijen S, Tate A, Kuppens K, Claes A, Struyf F. Swim-Training Volume and Shoulder Pain Across the Life Span of the Competitive Swimmer: A Systematic Review. J Athl Train. 2020 Jan;55(1):32-41. 2.9
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
✅ 結論
思春期の競泳選手において、水泳トレーニング量が肩の痛みと関連していることを示唆するエビデンスが得られた
[背景]
競泳選手は膨大な量のスイムトレーニングにさらされているため、軟部組織構造に過大な負荷がかかり、肩の痛みの原因となる可能性がある。練習のガイドラインを作成する前に、傷害に関連するトレーニング要因の理解が必要である。
[目的]
水泳トレーニング量と肩の痛みの関係を調査し,競泳選手の生涯にわたる水泳トレーニング量と肩の痛みの有病率を明らかにすること。
[方法]
データソース:PubMed, Web of Science, MEDLINEに掲載されている関連研究
研究の選択:定義された水泳トレーニング量と競泳選手の肩の痛みとの関係を評価した研究
データの抽出:12件の研究(N = 1460人)が基準を満たした。分析のために水泳選手を年齢別に分類した:若年層(15歳未満)、青年層(15~17歳),成人層(18~22歳)、マスター層(23~77歳)。
[結果]
思春期の水泳選手は、他の年齢層(範囲=19.4%~70.3%)と比較して、肩の痛みを感じる割合が最も高かった(91.3%)。思春期の水泳選手(17.27±5.25時間/週)と成人の水泳選手(26.8±4.8時間/週)では、水泳トレーニングの量が最も多いことが報告された。思春期(P = 0.01)とマスターズ(P = 0.02)の両グループにおいて、肩の痛みがある人とない人の間で、トレーニング量に違いが見られた。思春期の水泳選手では、毎週の水泳トレーニング量(P < 0.005, P = 0.01)と競泳歴(P < 0.01)が棘上筋腱の厚さと有意に相関し、腱の厚さがある選手は全員が肩の痛みを経験していた。
[結論]
思春期の競泳選手において、水泳トレーニング量が肩の痛みと関連していることを示唆するエビデンスが得られた(レベルIIの結論)。バランスのとれたプログラムを維持するために、アスリートの水泳トレーニングを年間を通してモニタリングすることが推奨される。発展途上のアスリートは、水泳量の急激で大きな増加に注意し、避けるべきである。しかし、水泳トレーニングの影響についてデータに基づいた判断をするためには、カットオフ値を決定するための質の高い研究がさらに必要である。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅棘上筋腱の厚さと肩の痛みの相関は興味深い。他の競技と比べて肩関節に大きな可動域を要するだけに、リハビリテーションにおいても患者教育はかなり重要だろう。
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