見出し画像

『犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉』

メディアで同じみの犯罪心理学者 出口先生、初の子育て本。
「子どもを追い込んでしまう言葉」を、それにより引き起こされる(可能性のある)犯罪と掛け合わせて紹介するというユニークな構成の一冊。

■こんな人にオススメ

・子育て中の方
・孫をもつ祖父母
・特に子どもや孫が小学生以上の方(登場人物が小中高生のため)

■本書の概要

子どもに刷り込んではならない、6つの禁句を紹介。
①みんなと仲良く
②早くしなさい
③頑張りなさい
④何度言ったらわかるの
⑤勉強しなさい
⑥気をつけて!

本書を読み進めると分かりますが、このフレーズ自体をダメだと言っているのではなく、親がこうした言葉を発してしまうようなシチュエーションにおける、親のスタンスや心持ち・子への接し方について、警鐘を鳴らしています。
「親は良かれと思って言ったことが、子どもにとって重圧や苦痛になっていることがある。」そんな気づきを与えてくれる一冊です。

■私の6つの付箋


子育ての確証バイアスから抜け出すためには、「子どものために」と思ってやっているあれこれが押しつけになっていないか、検討する機会を持つことが大事。
夫婦でよく話し合う。
夫婦で話し合うことで、お互いに「確かにそう言う考え方もあるな」と思い、ちょうどいいところを見つけられれば最高。
最悪なのは、それぞれが別の方針で子どもに向かうこと。
良くないのは、子どもに黙って方針を勝手に変えること。なぜ変わったのか分からなければ、子どもは不信感を持ちます。



本人の性質・個性に基づく期待なら良い。
「みんなの話を聞いてまとめるのが上手だから、リーダーとして頑張ってほしい」といった期待は、個性を伸ばすことにつながるでしょう。
しかし、「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」といった言い回しは個性をつぶします。
外発的な要因で期待する声かけは良い結果を生みません。


長所も短所も、ある特徴をどうとらえるかという話です。
短所の指摘、これは親としてどんなに気をつけていても出てしまうと思うのです。
そうしたら、すかさず長所への言い換えをしてみてください。
子どもは短所の指摘を受けつつも、自分のことを認めてくれていると感じるでしょう。
ダメ出ししたら、フォローを忘れない。
これだけで大きな差が出ます。


内観療法(自分を見つめる機会を持ち、現状を客観視する方法)のやり方。
お母さんなどの身近な人物をテーマに設定。
その人に「してもらったこと」「してあげたこと」「迷惑をかけたこと」の3つについて考えます。
書き出したり、人に話したりする必要はありません。ひたすら自分の中に沸き起こる思考や感情を見つめるだけです。これだけですが、自分に対する理解が深まり、社会と自分の関係を自覚できます。


学習性無力感に陥らないためには、プロセスを褒めること。
難しく考える必要はありません。
あ、動いているなと思った時にポンと言ってあげればいい。行動していることを見てるよ、ということを伝えればいい。
意欲を持っていること自体を褒めると、意欲が高まる。
プロセスを褒めつつ、もしご褒美を渡すときは、親自身も嬉しいということを伝える。(物のために頑張るのではなく、それは親が嬉しいという表現の一部だと理解させる。)


悪いことをした子どもを叱るときも、まずは言い訳を聞いてあげることが大事。
子どもの言い訳は、自分の心を落ち着かせるためにやっていることが多いです。
その子の心を守るためには重要なのです。
そしてとことん言い訳すれば、自分で矛盾を感じるようになります。これが重要です。
自分で気づいて、先に進めるようになります。

■最後に

1万人を超える犯罪者・非行少年の心理分析に基づいた子育てのノウハウ本。
子育てに正解がないことを考えると、「こうすれば良い」ではなく「これに気をつけましょう」という本書のアプローチは現実的・実践的だと思います。
そして圧倒的なサンプリング結果に基づいているというところに、説得力も感じられます。

ぜひ読んでみては。

いいなと思ったら応援しよう!