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パリで遭遇した日本人観光客との未だに解明されない謎の接触①

観光大国パリ。
白い石造りのオスマニアン建築の建物や象徴的なエッフェル塔、
ちょっと足を伸ばしてヴェルサイユ宮殿に行くのもよし。
道を歩いているだけで、カフェでコーヒー一杯飲むだけで、日本とは全く違う景色の非日常を味わえる、そんな夢を見させてくれる街、それがパリだ。
フランス人さえ自称しているLa plus belle ville du monde(世界で一番美しい街)なのだから、コロナ禍で一旦下火になったとはいえ、年がら年中世界中から観光客が押し寄せている。ノートルダム大聖堂の付近など、地元民を探し当てるほうが困難だ。

ノートルダム大聖堂の前。観光客とスリが混ざり合う。


かくいう私の両親も30年以上前の新婚旅行はフランスであり、時差ぼけとゲテモノ(エスカルゴ)に辟易する父をよそに母はかなりのご堪能ぶりだったと何度も聞いている。
そんなフランスに、パリに住んでいるので当然のことながら日本からの観光客も度々目にする。今回は日本人観光客との接触で起こった謎の経験について語りたい。


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「パリと東京で頑張る女たち」で検索してください。
note未公開のエピソードについても語っています。

アラサー女2人が語るパリと東京のアレやコレ。

ケース1 : 大学生の集団


これは今から5年前、コロナが蔓延する前なのでまだ観光客が通常運転で溢れかえっていた時代だ。
パリの中心のLes hallesはかつて中央市場があった場所で、今は映画館併設の商業施設が建っており常に若者で溢れかえっている。

その日、私は非常に焦っていた。
友人とのディナーの約束があったがそれまで暇だったので、私は一人映画を楽しんで、軽くショッピングをして、さあそろそろ友人との待ち合わせに向かうか!と時計を見たら、時計が止まっている。iPhoneで時間を確認すると、待ち合わせの時間がとっくに過ぎていた。Les hallesから待ち合わせ場所までメトロで20分。友人に電話口でデゾレ〜デゾレ〜言いながら改札に向かった。

改札を通ろうとしたところで、切符がないことに気づく。当時はまだ紙の切符を使っていた。
急いで券売機に向かうと、券売機の前に集団がいた。
近づくと、日本語が聞こえてきた。関西弁だった。
目的地への行き方がわからないらしい。観光大国ではよく見かける光景なので、何も驚かないが、繰り返して申し訳ない、この日私は焦っていた。

彼女たちの背後から声をかけた。
「その駅に行きたいなら4番線のこの方面の地下鉄に乗れば行けますよ。」

集団が一斉にこちらに振り返った。突然話しかけられて(しかも予期せぬ日本語で)びっくりしたのだろう、2度見、3度見して心底驚いた時の声が出てきた。

えっ?えっ?!あっ… ソーリー!!


ソーリー?ん?英語?と思ったが、彼女たちはまた携帯片手にえっえっを連発しながら狼狽えていたので、切符の買い方を教えたかったが再びソーリーと言われた。
ここで引き下がろうかと思ったところで私の背後を見ると数人並んでしまっていた。しかも忘れてはいけない、私も切符を買うためにここにいるのだ。
意を決して再び声をかけた。

「あの… すみませんが、先に切符を買ってもいいですか?」
返ってきた言葉は盛大な

ソーリーっ!!


だった。

不都合なことがあればとりあえずC’est pas ma faute.(私のせいじゃない)、自己責任なんて日本人スピリットの微塵もない責任転嫁上等のこの地で、これほど謝られたことはない。
かくいう私も譲っていただいた券売機で切符を買いながら電話口でデゾレデゾレ言いまくっていたのだから、この日のLes hallesは謝罪の言葉で溢れかえっていた。

ー ケース2へ続く ー


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