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65 困難を乗り越える力「レジリエンス」を育てる親の関わり方:成功時にストレスを学びに変える

「失敗を乗り越えて挑戦し続ける力を育てたい」
「子どもがストレスを感じたときに、どう支えればよいのか知りたい」

親として、子どもが困難に直面したときにどのように関わるべきか悩むことは多いと思います。

本記事では、脳神経科学の観点から、心理的レジリエンス(折れない心)を育てるための親の関わり方を、「Co-育てメンタルトレーニング」の視点で解説します。

レジリエンスとは?


心理的レジリエンスとは、ストレスや困難を乗り越え、適応する力のことです。

しかし、レジリエンスは生まれつき備わっているものではなく、経験を通じて脳が学習することで育まれるものです。

ここで重要なのは、「ストレスにどう対応するか」が、脳の働き方を変え、レジリエンスを強くするということです。

脳神経科学から見るレジリエンスの鍵


① 前頭前野(PFC):「ストレスを整理し、乗り越える力を育てる」

前頭前野(PFC:Prefrontal Cortex)は、感情をコントロールし、論理的に考える役割を持つ脳の部位です。

PFCが鍛えられると、ストレスを受けても冷静に分析し、適切な対処法を考える力がつきます。しかし、子どものPFCは発達途中のため、親のサポートが必要です。

② RLPFC(前頭極):「ストレスのパターンを学習し、メタ認知を高める」

RLPFC(Rostrolateral Prefrontal Cortex)は、自分の状態を俯瞰し、パターン化する機能を持ちます。

これにより、「成功する前にどんなストレスや困難があったか」を振り返り、ストレスを学びの機会に変えることができます。

③ 扁桃体(Amygdala):「ストレスに対する過剰反応を抑える」

扁桃体は、不安や恐怖などの感情を司る部位です。

過度なストレスを受けると扁桃体が過剰に反応し、強いネガティブ感情を引き起こします。しかし、成功体験とストレスを結びつけて学習することで、扁桃体の過剰反応を抑え、ストレス耐性を高めることができます。

親の関わり方①:「成功を意識的に振り返る」


🔍 脳のメカニズム:PFCとRLPFCの活用
• PFCは「成功要因の分析」を助ける
• RLPFCは「成功のパターンを学習する」

人間の脳は「失敗には注意を向けやすい」が、「成功には注意を向けにくい」特性があります。これは、脳が「予想とのギャップ(差分)」に強く反応するからです。

予定通りにできたことは「差分」が生じず、意識しにくいため、意識的に「成功を振り返る」習慣をつけることが大切です。

実践ポイント

✅ 「何がうまくいった?」と問いかける
成功したとき、「なぜできたのか?」を言語化することで、PFCが強化され、次の成功につながります。

✅ 「どうしてできたのか?」を深掘りする
ただ「うまくいったね!」で終わらせず、「その前に何をした?」と問いかけると、RLPFCが働き、成功パターンを学習できます。

✅ 成功体験をノートに記録する
「成功した理由」と「その前の努力」をセットで書くことで、PFCとRLPFCが活性化し、成功パターンが脳に定着しやすくなります。

親の関わり方の例
×「テストでいい点取れたね!」
○「どうして点数が上がったのかな?前回と何が違った?」

親の関わり方②:「ストレスと成功を結びつける」


🔍 脳のメカニズム:扁桃体の調整と成功体験の強化
• 扁桃体の過剰なストレス反応を抑えるためには、成功とストレスを結びつける学習が必要
• これにより、「ストレスは成長につながる」と脳が認識し、レジリエンスが高まる

実践ポイント

✅ 「大変だったこと」を振り返る
「この結果が出るまでに、一番大変だったことは何?」と問いかけることで、ストレスと成功を脳内で結びつける。

✅ 「ストレスは成長のサイン」と伝える
「大変だったってことは、それだけ頑張った証拠だね!」と伝えると、扁桃体のストレス反応をポジティブに変換できる。

✅ 「この経験を次にどう活かす?」を考えさせる
「次に同じようなことがあったら、どうすればうまくいくかな?」と問いかけると、PFCが働き、ストレス対処能力が向上する。

親の関わり方の例
×「大変だったね。でも頑張ったね。」
○「大変だったけど、その経験があったから今の成功があるね!次に活かせることは何がある?」

親の関わり方③:「チャレンジする価値を伝える」


🔍 脳のメカニズム:報酬系の活性化(ドーパミン分泌)
• チャレンジしたことに対して親が評価すると、報酬系が活性化し、ドーパミンが分泌され、「挑戦が楽しい」と感じやすくなる
• これにより、子どもは**「挑戦し続けること自体に価値がある」と学習する**

実践ポイント

✅ 「結果よりチャレンジを評価する」
失敗しても、「やってみたこと」が価値があると伝える。

✅ 「最初から成功する人はいない」と教える
スポーツ選手や偉人の失敗談を共有し、「失敗は成長のプロセス」と認識させる。

✅ 「次にどうすればいい?」を一緒に考える
「次はどう工夫する?」と前向きな思考を促す。

まとめ


✅ 成功を意識的に振り返る(PFCとRLPFCの活用)
✅ ストレスと成功を結びつける(扁桃体の調整)
✅ チャレンジする価値を伝える(報酬系の活性化)

親のちょっとした声かけで、子どもの脳の働きは大きく変わります。
「Co-育てメンタルトレーニング」を活用し、子どもがストレスを学びに変え、挑戦を楽しめる心を育てていきましょう!

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