友達が 1人もいない 走るわけ ~夏の夜を快適に過ごすために~
私には友達が1人もいない。連日続く人がゴミのようだと言わんばかりのムスカ的太陽を親の仇の如く睨みつける日々を送る中で少し前から減量に励むことにした。ただ食べる量を減らすことで胃袋との小競り合いによるストレスを抱えながら生活していくとなると、ただでさえ生きづらい社会の中でメタボリック的なストレスを抱えている状態なので無理な食制限はせずに週に何度か10キロほど渋々々々ながら走ることにしている。
ただ多少太ったとはいえもとより年齢と慎重的にも平均よりも下の数値であったためそもそも私が減量に励む必要は本来なくあと3,4キロの増量ならば欲望に従事した日々を送ったところでまだ許されるほどだ。ではなぜ減量というよりかは体を動かしておかなければと私が本能的に思った理由を考えたところ心当たりが1つだけあった。部屋のクーラーの件だ。
私というよりも日本人の男女、いや世界の男女全員が言えることだがクーラーは夏という季節においてのみではあるが抱かれたい無生物ランキングで堂々の1位に君臨する文明の利器の覇者である。その排出される冷気はもはや神の吐息とも呼ぶにふさわしい命の救済であり、夜中その冷気によって作り出された空間で桃源郷的妄想にふけこみ、そのまま眠りにつき朝を迎えることほど潤沢な時間の使い方はないと私は考えている。そんなクーラーが現在古すぎて使い物にならない。
そのため私は小型の扇風機を送風の全てが私に吸収される絶妙な位置に、首をふることなど決して認めず私だけを見ろといわんばかりに鎮座させることで猛暑による殺人的な夜に立ち向かっているがそれでも太刀打ちできない。もはや私にとって夜の訪れはミサイルを大量に積み込んだ爆撃機と同じぐらい脅威である。
それでもなんとか夜に立ち向かえないものかと考えたすえ私は自室の部屋のベランダの掃き出し窓を全開にすることにした。そうすることで微力ながら風の通りもよくなり暑さによるダメージも軽減されるのだがデメリットが1つある。防犯だ。
マンションのベランダを開け放つということは当然隣の部屋の隣人が乗り越えて入って来るというリスクがある。仮にに忍び込んだところで金目のものなどなにもない。唯一金銭的価値があるのは血も涙もない懐事情を詰め込んだ財布だけなのだが、これを盗んだところで人生を棒に振る覚悟で罪を犯した加害者も戦果にしては無残すぎるということで逆に被害者になりえる可能性もある。
ただそれでも万が一という可能性も考慮しなにか防犯対策をしなければと私は考え、財布を枕の下に敷いてから寝るようにしている。つまり財布を手に入れるためには私を倒してからじゃないと取れないのだ。
そのため自ら闘いの場を用意し、挑戦者を招き入れる準備を整えた私は少しばかりの戦闘力を欲した。すなわち今の私はほぼほぼ朝倉未来と同じ動機で走っている。もしかしたらであるが夏が終わり窓を開放しなくてもいいほどの季節になったころには私の拳が日本を熱くしているかもしれない。
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