明日、何が出来るかな
おはようございます!
「賢いのに勉強以外バカ」とよく言われるのですが、褒められているのか・けなされているのか分からず、
とりあえず「ありがとう」と返す atom (多分バカ)です。
さて、今回のサブタイトルは
ワクワクしながら学ぶ
珍しくテンションが高いので、数か月前に父と話したことを明るくまとめてみたいと思います。
曲紹介
「青空」/ THE BLUE HEARTS
父の影響で聴き始めた歌の一つです。
心に響く歌ってこういうことなんだと、幼いながらに感じた記憶があります。
ぜひ、聴きながら記事を読んでみて下さい。
就職どうするの?
現在私は大学4年生で、原子力発電について学んでいます。
昨年から今年にかけて就職活動をしていましたが、
大学院に進学すると決めて両親と話し合い、就活を辞めました。
そのしばらくあとに、父と一対一で話す機会がありました。
進路に関しては母と話すことが多く、父と話すことは滅多になかったのですが唐突に
将来、原子力関連で就職するよな?
と質問されたのです。
父は何気なく聞いたのでしょうが、正直に言うと、少し焦りました。
原子力関連の企業に就職するつもりは無かったからです。
この質問をきっかけに、大学での学びから将来設計まで展開して議論することになりました。
原子力じゃないんだ?
昨年の夏から就活をするにあたって、自分は何をしたいのか 考えました。
自分としては、
最大限のインパクトを出せる
やりたいと心から思える
この2つが両立できる活動をしたい。
小学生の頃に東日本大震災に伴う原子力発電所の事故を知って、大人に違和感を覚えてから
原子力や放射線に関して正しい知識を持ち、
自分で判断できるように。
そんな強い想いで勉強を続けてきたことは事実です。
しかし、原子力発電を学ぶこと・研究職に就くことはイコールではないですし、
大学に入って自分より遥かに賢い人を間近に見てしまったからこそ、
自分が職業として研究をすることを躊躇っている部分もあります。
自分は手にした力を違う方法で活用する方が、面白いことが出来るのではないか。
研究以外にいくらでも道はあるんじゃないか、昨年はそんなぼんやりした思考を持っていました。
何がやりたいの?
そんな中で福島県を訪れたときに、育てたお米で「萌(きざし)」という
お酒を造っている農家さんとお話をする機会がありました。
その際に これからの農業について・福島県で農業をする意味について、色んなお話を聴かせて頂きました。
震災後10年近くが経ち、その間も現実と向き合いながら
自分に関わってくれる人の幸せを心から願って真っ直ぐに農業をされている姿に心が動かされました。
そのときから、将来は自分もこんな仕事がしたいと思うようになりました。
大学院は何のため?
最初の質問に対して、父にはこう返答しました。
将来は福島県で農業関連の仕事がしたい。
多分事業を創る支援とかをすると思う。
就職はそのための感覚が身に付く所に進む。
だから原子力関連の企業でない可能性が高いし、
名前の知れた大企業ではない可能性も高い。
そんな想いを伝えたとき、返ってきたのは
分かった。それは好きにすれば良い。
1つ疑問なのは、
将来、関連企業に就職するわけじゃないのに、
大学院で原子力を勉強するのかということ。
すぐに就職しても良かったんじゃないか?
否定するわけでは無く、将来のことを考えて意見を伝えてくれました。
でも、それじゃダメなんだよ。
これが自分なりの答えでした。
なぜなのか。
そんな父の質問に答えるには、"学ぶ" ことに対する姿勢から話さないといけませんでした。
ニュアンスを勉強する?
何かを学ぶ際、私は "分かりやすい指標" を手に入れることよりも、"内面を豊かにすること" を意識しています。
そしてそんな意識の下で、空いた時間はとにかく本を読みます。
今年の読書記録がこちらです。昨年に第一種放射線取扱主任者という
国家資格の筆記試験に合格したときも、勉強は読書の隙間時間にする程度でした。
あくまで優先順位は 資格<<読書 で、
とにかく筆者と近い感覚で世界を見られるまで本を読み返します。
時給が低い学生のうちは、コスパが悪くて、すぐには価値が出ないものを学んでも勿体なくない。
そう考えるからです。
だから大学院で学ぶにしても、同じ分野で知識をすぐに使うというよりは
得た感覚・視点を抽象化して他分野に活かすというイメージをしていました。
ここが父との一番の考え方の違いなんだと思います。
原子力分野の魅力は?
この学びの姿勢は、原子力発電を専攻する中で身につきました。
原子力発電と聴くと、小難しい理論ばかりで知らなくても困らないものだ。
そう考える方が少なくないと思います。
確かに原子物理学は小難しくマイナーな分野なのですが、関連領域を考えると
・原子炉内の反応を知る = "物理"
・放射線を出す核燃料の処理 = "化学"
・環境や生命への影響を知る = "生物"
・立地条件を考える = "地理"
・費用対効果を考える = "経済学"
・エネルギー政策内の位置づけ = "政治"
などなど、多くの分野が複雑に重なりあって原子力分野を創っています。
すなわち、どれか1つの視点だけで話をすることは出来ないし、意見を聴く際も、
他の立場の意見と合わせて水平的かつ総合的に考慮されなければなりません。
さらに大切な点は、最終的に決定を下すために必要なのは理論ではなく、
倫理的な感覚と丁寧なコミュニケーションであるということです。
自分の中の正解を疑い、他の視点を探す意識が無いと議論は収束しません。
とにかく多様な視点と、新たな見方を受け入れる柔軟な姿勢が必要なのです。
「正解 ∞.0」?
そんなことを原子力分野の勉強や、福島県での交流を通じて学びました。
自分が一度抱えた「正解1.0」を、他者との関わりや意見交流によって「正解2.0」にバージョンアップする。
そして、さらに対話を重ねて 3.0や4.0...に変化させ続ける。
それが原子力分野を学ぶ者に必要な姿勢ではないか。
そう考えて専門外の分野を積極的に学び、新しい視点を体に染み込ませてきました。
・メンタルヘルス ・ジェンダー
・経済学 ・哲学 ・AI
・経営学 ・人類史 ・ビジネス
手当たり次第に学び、何屋さんなのか自分でも分からなくなってきました。
本棚の一角もこんな感じで、分野の境目がグシャグシャです。
最近は「これからの男の子たちへ」という本を読み、視野の狭さと
社会の前提を疑ってこなかった自分の甘い姿勢を痛感しました。
ホントに出来るの?
昨日まで正解だと思っていた理解が今日の学びによって、
どれほど浅いものだったのかを思い知らされる。
そんな経験を大学に入学して以来、ずっと意識して重ねてきました。
最初は自分の愚かさ、視野の狭さに絶望することもありましたが、今では全く逆で
自分が小さくて無力なのは当たり前。
今は大きすぎる目標でもかまわない。
きっと出来る。まだ出来ないだけ。
そのために今日も、無力さと向き合おう。
そう意識して、明日は今より大きな自分になろうとワクワクしながら学んでいます。
そして自分の無知さに気付くためには、
広範囲の分野との密接な関わりがあり、
狭い世界ゆえにトップランナーと呼ばれる
研究者の方々と交流しやすい。
そんな原子力の世界こそ、成長のための最適な場であると考えています。
大学院では明確な答えの無い "研究" に2年間没頭できます。
きっと自分にガッカリする瞬間にたくさん出会えると思いますし、
その格好の場である原子力の世界で、積極的にそんな機会を作ろうと思っています。
知の栄養?
他者の痛みから目を背けない。
今まで何度も記事に登場してきた、私の人生のテーマです。
そのために、自分の弱さと向き合うことを常に意識しています。
原子力分野から学ぶことはまだまだ沢山あります。
もっと自分の弱さを知って、強くてやさしいひとになりたい。
明日、何が出来るかな
今日の自分に絶望し、明日の自分に期待できるように、
これからも無知な自分に知という栄養を与え続けようと思います。
明後日からは福島県で2週間の実習です。
今の自分に絶望するためにも、現役バリバリの研究者さんの一挙手一投足を学んできます。
滅多にない貴重な機会にワクワクしながら、今回はこのあたりで。
atom.