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自分らしくと人間らしくは違う

たまに「自分らしく生きる」といった「自分らしく」を前に出して話したがる人もいる。
何かへの抵抗なのかと思うこともある。そんなことを考えさせられることがある。

他人の「らしく」に興味がある人はいるだろうか。いない。

「自分らしく」とは何を言いたいのかまるでわからないのだ。
「自分らしく」を表明して他人との壁を作りたいのか。

「人間らしく」と「自分らしく」は違うことはわかると思う。
「人間の特徴とは何か」、「自分の特徴とは何か」と問えば、同じであるはずの答えが同じではないからだ。

自分と他人は違うということを言いたいのだとしたら、それは人間にある凡庸な心理傾向でしかない。

その自分らしさを追求したら、孤独に耐えきれず、すぐに同類への渇望が生まれるはずだ。
それが人間の特徴だからだ。

他人を遮断するかのようなわけのわからないことを考えるよりも「人間とは何か」という答えに従って生きた方が「自分らしく」生きられると思う。難しいことではない。

自分の興味がその人を創る。人間の全体ではなく一部だ。それが人間を表す。
自分らしさを求める人にはこの意味がわかるはずだ。

人間らしくから遠ざかっていても、いずれは人間世界に必ず戻ることになる。それが人間の特徴だからだ。

「人という字はね…」などとつまらぬ説教をしたいのではなく、「自分らしさ」を求めるなら、人間世界と自分の世界を一致させようとすることを試してみるのも面白いのではないかと思うのだ。

答えはそこにあると思う。