第5回:なるべく働きたくない人のためのお金の話(大原扁理)
Money stories for people who don't want to work as much as possible
おすすめ度 ★★★
知識貢献度 ★★★
新しい発見 ★★★☆
読みやすさ ★★★★
独自の生き方 ★★★★☆
(2018年7月4日発売、百万年書房、1400円+税)
お金についての知識が手に入る本もよく触れるジャンルのひとつのOzuです。今回はタイトルが中々強烈なこの本「なるべく働きたくない人のためのお金の話」です。本を買う時にタイトルだけ読まれた場合「こいつ労働から逃げるための知識を入れるためにこんな本を買ってるだな。私たちは一生懸命働いてるのに。」なんて、心のどこかで思われそうなそんなタイトルですが、上っ面の半分だけは当たっていて、でも上っ面ではないもう半分は全く的を射ていないのが答えになるでしょうか。
この本はまず著者が元々は低所得者であることを明かしています。ですので、今この文章をお読みになっている方の多くが著者よりも年収が上だと言えます。なのに著者よりも生きづらさを抱えてる方はきっと多いでしょう。ではそれなぜなのか?知りたいと思いませんか?
この本は著者の3冊目の本にあたるそうですが、過去作のタイトルや著書でもこの点について過去の職歴や生活スタイルなど住まいも含めお話してくださっています。
非常に等身大的な生き方を選んでおり、それがこの方の生きやすさ(幸せ・幸福度、著書内でハッピーという単語をよく使われているもの)に繋がっているように感じました。この本は堀江貴文さんが推薦している本ですが、堀江さんご自身もよくお金の正体について触れてくださって各本の中で伝えてくださっています。この本もお金の正体というものを、著者の実体験談を通じて教えてくれている内容になります。
言わんとしていることの本質の部分で大原扁理さんと堀江貴文さんの解は一致するように思えます。ですが恐らく途中式(もしくは見ている角度)は異なります。それはお互い全く性質の違うタイプだから。そのような印象を持ちました。ただ大原さんも本を出されたことで、また一定の成果が出ることでそちら側に一歩二歩進まれたでしょうし、そういったことでまた違った目線・視座・物差しを持って新しい価値観でお金や世界や自分の内面や社会をきっと見ることになるでしょうから、今後はどの時期の大原さんの話かという点ももしかしたら大事になってくるかもしれません。情報は著者がたくさん拾ってきてくれました。ですがその目線を合わせ読み解くのは我々読者側の仕事である、と自論を述べた上で読まれると先々読みやすいのではないかなと思いました。
そして少し話を脱線します。若干のスピリチュアルな感想になることをご容赦ください。16personalitiesの話を持ち込ませてください。著者は恐らくISFPの方という印象を受けます。(エニアグラムも合わせるならタイプ9)非常に等身大でお金という利己に固執するのが本性でないのが、そもそも地の気質と言えます。
※お金=利己という表現は一旦流して説明を続けさせていただきます。
ですので、心・内面性の豊かさ、健康の大切さ、自分の嫌なテリトリーから逃げる(避ける)ことの大切さ、それに伴う自然体の、人や自分や社会への愛情(貢献、還元)などがとても自然的発生しています。理屈や計算をして分かっているのでなく、そういった心穏やかな・内面的に豊かな状態でいられることが自然とそういった行動を作る(循環をする)、そうしたくなる自分がいることが分かっている。だからこそ、社会のしがらみみたいなものから抜けるために隠居生活を行われてきて、そして質素な生活をすることも、辛い仕事を下へ下へとばかり押し付ける社会の過酷さ(場合によっては人間の力関係、受験や大学という締め切りの中で有能・無能が差別化されるシステムへの抵抗のようなもの)と、学校教育もしくは社会や世間の常識とされている"嘘"について、お金(上記のような社会的背景を含む)に縛られながらも自分の核を持ち続けたことでしっかりとご自身の正解を見つけられたかなと思いました。著者を中心したキーワードを読み解くなら恐らくそれ。16Personalitiesで例えるならFiの正体とも密接なものではないかと予測しながら読んでいました。(でも診断するとこの方INFPと診断もされそうな気もする。年と共にN(Ni)機能以下が育っていくわけですし。)
少し気になる点といえば、Fiような独自性の高いものを一般化したり真似た生き方をするのは同タイプや近いタイプ以外は難しいという点。知識の一環としてこんなもの考え方もあるんだ、生き方もあるんだという点については全く問題ないのですが、真似たところで体や心で知識を学ぶ筋肉やセンサーが鍛えられていなければ難易度が高いような気もします。倫理観だったり、人間が本来もっている心根の美しさみたいなものとも関与しているでしょうから、そこと社会規範というものは一致させにくい、相性は決していいとは言えない。だからどうしても生活のために働くこと(嫌だと思っている仕事だとしても)抜け出すことの難易度は上がる。また人間には組織に属することで安心する群れる生き物側のタイプや、ここまで自分の軸を持って判断や選択できる方、またそもそも利己的でない方といった面は頭の知識だけは補えないヒューマンスキルであるとも言えるため、自分と他人のタイプの違いを知ることが大事になるでしょう。著書でも触れていますがお金のことを知りたかったら「自分の内面と向き合うことが足りない」といったような記述があったと思います。「自分がどうありたいか問題」。だから結局のところ自分の内面に向かえないとお金の正体というものが見えてこないんですよね。堀江さんは外的な目線でお金=血液、信用といった定義を、そして多くの著名人のこの視点や文面でお金についての本を出されているのである意味共通認識、つまり一般化された知識です。一方大原さん自分がどうありたいかを考えることで(自分と向き合うことで)お金がいくらいるかいらないか、世の中の当たり前の生活スタイルに惑わされないことの大切なども伝えられています。不要なものをそぎ落とす作業=やりたくないことからは逃げるで、これらが結局自分にとってに必要な行為(幸せ、内面的な豊かさ)につながり、自分にとって必要なお金の総量(最適解というよりはサイズ感を見つけたという表現の方が適切かもしれません)。
冗長でまとまりのない文体で恐縮ですが、ここまで記載した通りお金を儲けるためのノウハウが書かれた本でも、決して堕落して不労所得を得るためのやり方が書いてある本でもありません。自分の内面と向き合い、自分にとって必要なお金の総量を見つける作業を、社会や常識などに惑わされず判断し見つける指南書のような本です。同調圧力という言葉がネットや若者の中で流行したイメージがありますが、そういったものに惑わされず自分自身で幸せを見つけることが大事になってくるとも言えます。著書ではあまり触れられていませんが、きっと親問題についても隠居生活スタイルを貫く上ではきっと問題が生じることでしょう。
「どんな生き方をあなたは"本当は"したいのですか?」という問いかけに自信を持って各々が答えられるようになれば、きっと幸せの距離を一歩縮められるのではないか?と思います。そういった意味では"読み応えがある本ではなく考え応えがある本"とも言えるかもしれませんね。
私の拙い文面でこの本や著者の良さが引き出せているとは思いませんが、少しでも"幸せ"を考えるきっかけや知識になれば嬉しく思います。
追記。
本に色別の付箋を付けるタイプですが、その中でもこの感想文と一緒に載せておきたい引用部分があるので紹介させていただきます。
P45-7~10行目
というところ。上記の感想文にもこの点について触れてる箇所がありますので、筆者の私が何をどのように感じたかという部分はこの箇所からも読み解きやすいかと思われます。
最後に補足兼ねて紹介を。
たまたま検索していたらフェルミ漫画大学様でもこの「なるべく働きたくない人のためのお金の話」について単独動画があがっていました。私のような曖昧な表現少なく、言語化がはっきりしていて本書の要点をしっかり説明してくれていますので入りとしてこちらの方がおすすめです。宜しければ参考までにどうぞ。
【まとめ(動画内で確認できます)】
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