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高等学校教諭一種免許状(工業)で公立高校の教師になろう。免許状がなくても社会人特別選考で。

 大学で工学部だった方は、この免許をお持ちの方も比較的多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 今は民間企業だけどやはり公務員は魅力だから、学校の教師へ転職したい方等の参考になれば幸いです。また、免許状をもっていないんだけど教師に興味があるという方も、社会人特別選考がある自治体もあります。とりあえず臨時免許で授業をするようですよ。
 私の認知している範囲の話になるので、不確かな情報もあると思いますが、現場の声ということでご容赦ください。

  出身高校は普通科なので工業高校のことは全然知らないという方にとって工業高校で働くことはなかなか勇気がいることだと思いますが、理解を深めていただき、志のある方が、教科「工業」で各自治体の教員採用試験を受験して採用になり、学校の教師として働くことが全国で増えることを願います。

 ※免許状の取り方については、この記事では触れていません。


教科「工業」の教師になるには

 免許状を持っている方は、各都道府県の教員採用試験の日程を調べ、受験をして合格することです。

 ただし、教科「工業」の採用試験が毎年あるわけではありません。少子化の影響で子どもの数は確実に減っていますから、教師の必要な絶対数も減ります。定年退職の先生や高校再編の動きなどから、採用数を割り出しているはずです。一度採用したら自治体は給料を払わないといけませんから採用に慎重です。

 最近は教員免許がなくても、「社会人採用枠」や「民間採用枠」というのを設けて幅広い人材を確保しようとしている自治体もあります。あまり詳しくは調べていませんが、自治体に採用になった後、学校の業務をしながら、長期休暇を利用したりして教員免許を取るような制度になっているようです。自分の免許ですから取得に関する費用は個人負担で、学校の業務をしながらというのは時間的にも体力的にもなかなか大変だと思います。教員免許を取得するまでは、臨時免許で授業をすることになるようです。いわゆる「臨免」って言われているものです。

工業の免許で受験できるカテゴリー

 機械系とか電気系とか化学系とか土木系とか建築系とかありますよね。工業の教員免許は全範囲カバーですから、ご自身の得意な分野でいきましょう。大学で学んでない分野でも免許としてはいけます。

 採用は電気系なんだけど、人員の関係で建築系に行ってほしいと言われても、免許状的には問題ないので、そんな可能性はゼロではありませんが、今のことろ聞いたことはありません。人手不足なので今後は起こりえるかなと思っています。

 理科や社会の教員免許もある意味そんな感じですよね。物理が専門だけど、生物の授業をするとかよくある話です。

教員採用試験に不合格になった場合

 もちろん正式な採用で「教諭」にはなれませんが、人手不足なので、多くの場合は臨時の先生として学校で働くことはできるはずです。職名の分類上は「講師」と呼ばれています。年契約みたいな形で、年度替わりの4月からの場合もあると思いますし、事情により年度途中からという場合もあるかもしれません。わざわざそのことを言ったりしませんから、生徒にとってみれば「教諭」でも「講師」でも「先生」には変わりありません。

 「講師」は、いつも学校にいて他の教諭と同じ仕事をする「常勤講師」と、担当する授業の時間だけ学校に来て働く「非常勤講師」があります。私の所属の自治体では学校にもよりますが「常勤講師」でクラス担任をしている場合もあります。

 ちなみに私は、民間の経験はなく、大卒ですぐに学校現場でした。「常勤講師」も何年か経験して正式採用になっています。講師時代には教師は向いていないかなと思って、転職の活動もしていましたが、正式採用になったのでとりあえずがんばってみようと思い、今に至ります。

給料について

 ここは不確かなので参考までに。

 正式採用の「教諭」については、各都道府県のホームページ上に「給料表」が掲載されていると思いますので、そのとおりに支払われます。大卒であれば、教員採用試験の要項にかかれている初任給からスタートだと思いますが、民間での経験年数なども考慮されると聞いたことがありますので、教育委員会に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

「常勤講師」ですが、毎年少しずつ給料は上がりますがある程度の経験年数で上限があったはずです。「非常勤講師」は担当時間数や実際の授業日数によって給料が決まりますが、「非常勤講師」の給料は高くなく、「非常勤講師」だけで生計を立てるのは難しいでしょう。

 しかしながら、学校現場も人手不足です。「非常勤講師」でもある程度は継続して仕事がある気がしますし、「非常勤講師」は副業も大丈夫なはずなので、そういう働き方をしてもできるのかなと思います。私も、もしも正式採用になっていなかったら、「非常勤講師」+「副業」という選択をしていたかもしれません。現在でも、早期退職の年齢に達したらそのような働き方をしてもいいのかなと考えることもあります。

 「非常勤講師」は、授業以外の多くの業務がないのです。学校生活の中で生徒と深く関わることができなくて寂しい気はしますが、他の教諭や常勤講師の先生などと連携すれば、生徒の成長に関わることもできますし、なにより学校現場でありながら、業務時間は決まっているということは価値があると考えています。

実際に、教科「工業」の教師なっている人はどんな人(同僚)

 これも各都道府県によってまちまちだと思いますが、私のところでは、「民間企業」出身の人が多めです。特に年齢層の高めな辺りはその割合が高いです。このことは個人的にはとても良いと思っている部分です。私自身に民間の経験がないということもありますが、学校だけ知っている教師と、民間を知っている教師は感覚が違います。申し訳ないですが、私を含め学校だけ知っている教師は視野が狭いので、民間経験のある方の意見を教育現場に生かせるのは貴重です。また、やはり「工業高校」出身の先生も多いですね。
 教育というのは時間がかかったり、非効率なことが多いのですが、工業の先生はやはり効率重視の方が多いので、そのあたりも好きなところです。

教科「工業」の授業

 高校が普通科だった方はなかなか想像しにくい部分ですよね。教師になれば、業務のメインとなる部分なので知りたいところだと思います。下記の記事で書いていますので、そちらをご覧ください。

 大学の工学部の講義内容を経験された方は、工学系の内容って結構難しいんじゃない?と思われるかもしれませんが、工業高校の内容は浅く広くという感じで、難解な大学の教科書に比べれば、高校の教科書は圧倒的にわかりやすく書いてあります。大学の工学部の最初は、工業高校の教科書でもいいんじゃない?と思うくらいです。

 上記の記事にも書いてありますが、「課題研究」という授業があります。大学で言う卒論のようなものです。企業の最先端技術とはいきませんが、生徒たちとあれこれ考えながらものをつくっていくことは楽しいことです。私はものづくりやDIYが好きなので、この授業は充実感があります。私が教科「工業」の教師を選んだ大きな理由の一つでもあります。もしも、教師として座学ばかりの授業であったら、私は教師という職業を選んでいなかったと今でも思っています。普通教科の教師とか私には難しいのかなと思います。

 DIYが好きな方、教科「工業」の教師はいいかがですか?

公立高校の教員と仕事の意義と充実感

 昨今、教師の仕事はブラックだと言われています。部活動のあり方についてTwitterではかなりつぶやかれています。確かにそんな一面もありますが、前向きな捉えの部分にもスポットをあてたいところです。私の過去の記事から比較的前向きな部分をピックアップしてみたいと思います。記事→その記事の引用で記述します。

教員のしごとは、生徒個人だけでなく、社会的に見ても大切
 内部事情はいろいろありますが、教員の仕事は将来を担う若者の人格形成に携わるとこができる大切な仕事だと思います。生徒が大人になれば、働き、経済活動をしていくのです。何を考え、どこで働き、何を買うのか、どのような生活スタイルなのか。今後の社会を作っていくのです。

上記記事より

そうはいっても、公務員の給料は安定しているし、福利厚生もしっかりしている
 お金は生活をする上で大切です。この安心感があるので、理想にはなかなか近づきませんが、なんとか教育の仕事を続けられている一面もあると思います。
 もちろん教育の真髄や学び続ける姿勢を忘れてはいけないです。
 教育というのはやはり意義深いものです。
 誤解を恐れずに言うと、教育は面白いものです。

上記記事より

学ぶことを苦手としてきた生徒のやる気にさせることができれば、こんなに面白いことはない
 面白いと言ったら適切ではないのかもしれませんが、こういう生徒の成長に関わることが教員としてのやりがいだと思います。勤務時間の大半である授業でもっとやりがいを感じられたら、何と良い仕事だろうと思います。

上記記事より

 進学校や大学で日本の先進的なブレインを育てようとする教育に対して目が向けられがちですが、それと同じかそれ以上に、教育困難校の教育も手厚くしたほうが良いのでは思います。教育困難校に充実した教育をすることで、社会を構成する人のボトムアップにつながり、長期的に見て社会や経済もうまく回って、より多くの人が豊かな暮らしができると考えています。

上記記事より

 下記の記事では、「工業学科のある専門高校について」の今までの私の記事一覧と目次の一覧があります。

高等学校教諭一種免許状(工業)は持っているけど「教育実習」をしてないよ!について(余談)

 教員免許は持っていても学生時代に実際の学校現場での「教育実習」をしていない方もいらっしゃいますね。

 実は、私も「教育実習」はしたことがありません。

 他の教科の先生には、えっ!うそっ!と驚かれますが、教科「工業」の免許を取得するために、「教育実習」がない場合があるのです。詳しくは調べたことはないですが、国公立大学の工学部では少なくともないのではないでしょうか。ただし、複数の免許を取得する場合に「教育実習」はあると思います。例えば、「数学」とか「情報」とかを合わせて取得する場合です。私の出身大学の工学部の系列では、取得できる教員免許は「工業」のみであ、他の免許は取得できるシステムにはなっていませんでした。

 教科「工業」について教育実習がない制度は、おそらく高度経済成長時の名残ではないかと思っています。

 ちなみに、誰も制度改正には踏み込まないと思いますが、やはり「教育実習」はあったほうがよいのでは?と思います。見学とかだけでなく、授業をして生徒と関わり、現場を知ることは必要なことだと思いますし、工学部の学生にとっても、普段とはまったく違う教育の世界を体験することで、見聞が広がるのではないでしょうか。

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下記は、私の教育系記事を集めたマガジンです。


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