現代の化石
アートワークの新シリーズができました。
DISC
役目を終えた様々な鉄の道具たち。真っ赤に熱して柔らかくして、金槌でぺちゃんこに叩いて、つなぎ合わせて、また叩く。複数の道具たちは1枚の鉄板に近づきながら、ところどころに道具の名残を見せてくれます。
こうして産まれた表情は、岩肌から顔を出す化石のようにも見えます。そこに宿る様々な情報を記録するイメージで、一枚の円盤に仕立てました。ケースから取り出して壁掛けのレリーフでも、ケースに入れたまま置物でもOKです。お求めはこちらからどうぞ。
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CDもDVDもブルーレイも、サイズは直径12cm。この規格って、ベートーベンの第九が基準になっているそうです。およそ40年前にCDが登場した当初、「CDの直径は、74分の第九が1枚に録音できる寸法にしよう」ということで決まったとか。当時の技術で録音可能時間は、直径12cmだと75分だったけど、もし直径11.5cmだと60分だったのです。
それから40年後、ベートーベンは僕の作品サイズにも影響を及ぼすことになるわけですが、実は私、第九の中の有名な「喜びの歌」を1番だけ暗記で歌えます。フロイデーシェーネルゲッテルフンケン…と始まって、ボーダインザンフテルフリュゥーーゲルヴァーーイルトゥ。ってとこまで、今でもいけます。
というのも小学校の時、喜びの歌をクリスマスに高学年の生徒全員で歌うという催しがあって、みんなドイツ語の歌詞を暗記しなきゃいけないというミッションがあったんです。初めは面倒くさがってたけど、いざ歌ってみるとこれがすごく快感で。特にアーレンメンシェンの「アー」に全力でこぶしを効かせると最高。あとラ行はもれなく巻き舌で、機関銃のようにベロを振るわせるのも忘れちゃいけません。小学生男子なりのやり方で、歌う事に喜びを見出していました。
自分は記憶力は低い方だったし、歌詞の意味も理解していないけど、なぜかこの歌の歌詞だけは脳内ディスクにしっかり保存されてます。その理由はすごくシンプル。歌ってて気持ちいい曲だったからです。
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