なんだか味が決まらない…そんな時、どうしたらいいの?
料理をしていて、味見をしてもなんだか味が決まらない…そんな時、ありませんか?
塩気なのか、コクなのか、何かが足りないけれど、何が足りないのかわからない…何を入れてもなんだかまとまらなくなり、もうお手上げです。
そんな時はどうやってリカバリーしたらいいのでしょう?
私は料理を仕事にしている人間の端くれなので、使っている材料、調理法、調味料の詳しい配合などをお聞きすれば、だいたいどうしたらいいのかお答え出来るのですが、いつでも誰かに教えてもらえるとも限らないですよね。
そんな時は…
味を決めない
という選択肢もあっていいと思います。
家庭料理ってそれくらい自由でいいんです。
いつもいつも「家族みんなが喜ぶ美味しい料理」を作れたら素敵ですし、最高です。
でも、そんな日ばかりじゃ疲れてしまいますよね。家族みんなが喜ぶ美味しい料理を作り続けるのは、好みの違いやその日の体調もありますので料理のプロでもそう簡単なことではありません。
たまには作る人が味の全責任を負わず、食べる人に委ねてもいいと思うんです。
料理って真面目にやればやるほど、そのくらい大変です。
肩の力を抜いて、テキトーに無理なく出来ればそれが理想的ですし、そうできる人はそんなに困りません。
困っているのは、とても真面目な人だと思うんです。
そういう真面目な人だからこそ、味が決まらないと…
自分が納得できない無力感
食材を無駄にしたような罪悪感
家族への申し訳なさ
を感じて、落ち込んでしまうんですよね。
私もたくさん失敗しましたし、たくさん食べ残されてなんとも言えない嫌な気持ちになりました。
だから、お気持ち痛いほどわかります。
でも、そのモヤモヤ、料理を作る人だけが感じる必要はないと思うんです。だって毎日のように頑張って家族のためにお料理しているのですから。
「今日はムリ!」
と思ったら、食べる人に委ねてしまってもいいと思うんです。
では、どうやって委ねるのかと言いますと、卓上に調味料をいくつか置いて、自分で好きな味に仕上げて食べてもらう「卓上調味」です。
例えば、餃子やフライなどは、食べる人の多くがお醤油やラー油、ソースなどをつけて食べますよね?
どんなに人気のレシピ通りに色々な調味料を使って味をつけても、結局食べる時に一番強い味は後からつけるお醤油やソースなんです。
口に入れてすぐ直接舌に触れるのですから。そう思ったら、
「そこ、省いても良くない?」
ね?そう思いません?
実際、我が家ではオムレツに塩コショウなどの味付けはしません。ケチャップをかけて食べるからです。天ぷらも素材に味はつけません。天つゆや塩で食べるので。
そう思うと、作る人は味をつけないで、卓上調味(食べる人が食卓で味を調える)で仕上げられるお料理って結構あるのです。
先に挙げた天ぷら、ドレッシングをかけて食べるサラダや温野菜、ポークソテーやステーキだって、たれやステーキソースをかければ素材に何も味をつけなくても美味しく食べられます。
お店で料理に合わせた色々なたれやソース、ドレッシングなどの合わせ調味料が市販されているのも、同様の理由だと思います。
ですから、どんな味付けにしたらいいかわからない、味が決まらない…そんな時はめんつゆやポン酢、ケチャップやマヨネーズ、粉チーズなど、そのお料理に合いそうな調味料をいくつか用意しておいて各自が卓上調味して食べればいいのです。
鍋だって、出汁やスープにこだわらなくても、美味しいポン酢やごまだれがあれば、水炊きでも素材のうま味が出て、だいたいのものは美味しく食べられます。
まずは何も味をつけずに素材の味を味わって、足りないものを各自の好みに合わせて足せばいいんです。案外、旬のお野菜や新鮮なお魚などは、何も味付けをしなくても美味しく食べられてしまうものも多いのです。
このように、お料理には「味をつけなければならない」という固定観念を一度捨ててみてもいいかもしれません。
ただし、卓上調味にはいくつか注意も必要です。
小さなお子さんは調味料をかけ過ぎてしまうことがあるので、自由に調味料を使わせるよりも薄味に慣らしておくといいですね。
また、体調管理の視点から塩分や糖分、油分を摂り過ぎてしまう可能性もあるので、かけ過ぎには十分注意が必要です。
◇◇◇
最後に「いや、そんな話を聞きたいんじゃないんだけど…」という方に、味が決まらない時の代表的な対処法もご紹介しますね。
きっと皆さん、こちらの方が知りたい内容ですよね、お待たせ致しました。
味見をしてみて…
・何が足りないのかわからない
→ 塩をひとつまみ入れてみる
→塩味が濃くなった→酒類かうま味を足す
→味に輪郭が出た→塩をさらに少量足す
→味が尖った→甘味か油脂を足す
→特に変化なし→酸味を足す
・塩気はあるのになにか物足りない
→ うま味のある食材や調味料を足す
例)鰹節、ベーコン、めんつゆ、等
・味は薄くないのにぼんやりしている
→ 酸味を足してメリハリをつける
例)お酢、柑橘果汁、等
→ 辛味を足してアクセントにする
例)唐辛子、マスタード、こしょう等
・味にコク、深みがない
→ 油脂を足す
例)バター、オリーブ油、ごま油、等
→ 甘みを感じないごく少量の甘味を足す
例)砂糖、メープルシロップ、みりん等
いくつかのパターンに分けて、対処法を挙げてみました。味が決まらず困った時にお試し下さい。
ご参考になりましたら幸いです。
試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!