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Vol7.親会社は社員との約束を尊重、それまでの社長制廃止につながったCI活動?

手元に、A4の冊子があります。あるCIプロジェクトの、170ページにわたる、CI導入計画活動の記録。弊社が提供するCI計画は、すなわち自己変革プログラムであるとの思想から始動しました。弊社は黒子であり、参謀であり、導き役です。プロジェクト委員長は、現場トップの常務。社長は東京本社勤務で、常務とともにプログラム内容を検討、「ビジョン策定ミーティング」として始まりました。

実施期間は3年。最初の1年間を1期としてプロジェクト委員長(常務)の決意表明、社員との約束、自己把握と自己規定、つまり委員長の戦略的覚悟からコーポレートコンセプトの設定まで。

2期目は自己表現と自己変革、すなわち企業理念体系の策定と企業理念浸透=自己対峙(自分ごと化)、社内外への発表を行う全社員大会は、銀行や社員の家族、取引先までも集めて開催、本社からの天下り社長の返上の願いの朗読など、“あっと驚く”内容の連続でした。

3期目は現場への落とし込み(実際は、2期目から徐々に並行して取組み)と、有言実行による社内重要事項の平準化、社員・社内の大小の改善実施に取り組みました。

実施主体は、100社ほどのグループ会社を持つ、東京駅周辺に本社がある由緒ある企業の子会社M社。一事業部から、独立した子会社に移行することを機に、部長、課長といった中間管理職の面々をメンバーに、メインミーティング開催は毎月1回、個別ミーティングは数限りなく、自主的に、かつ積極的に取り組んでいかれました。

詳細は省きますが、1期目と2期目の終了時の、委員長(常務)のことばを抜粋して紹介しましょう。

1期目終了時・・・今まで経験したことのない取り組みに対して、多くの社員たちは、当初の姿勢は「やらされている」、「なぜ自分たちがこんなことをやらねばならないのか」というものだったが、苦しみや試行錯誤の中で自分を見つめ直したり、仲間の意見を聴きあうことで次第に楽しいものへと変化していった。課題を目前にしたとき、そこから逃げるのではなく、学習することで真正面から向き合う姿勢へと変化していった…。

2期目終了時・・・ヨチヨチ歩きの会社が独り歩きできるように、勇気と向上心をもって取り組んでいるのがこのCI活動です。未来の礎となる精神を築くことが、当社が会社として歩き始めたこの時に籍を置く私たちの使命と考えて、まずは管理職の方々が頑張っています。また、会社は有機体でなければならない。小回りをきかせ、社員がフルに脳力を発揮せねばならない。2年間取り組んだことは個人としての人生のビジョンと直感を活かす経営にも強い影響を与えたのではないかと思っている。会社は単に生活の糧を得るところではなく、縁で集まった人々が有機体として機能し、ビジョンを達成する場なのだとあらためて確信した。

やがて、リーマンショックが起こり、不況の波が社会を覆うことになりますが、全国の100余の系列会社がすべて業績悪化する中、このM社だけが業績が上がり、その理由を本社の役員会議で発表したということを伺いました。

その後、この親会社はM社社員との約束を尊重し、それまでの社長制を廃止、先導役の常務が社長になられ、PIの確立という人財育成法におおいに感謝されました。

2025年1月から提供を開始する「サステナビリティ経営」人財戦略の各種講座では、導入の目的に対応してPI確立に体験的に取り組んで頂くことを基本にしていますが、あくまで本人の強い意志や取組みが大きな成果をあげることでしょう。

また、「実践ワークショップ及び研究会」では、ビジネスゲームと振り返りの後半に、CI計画導入や、PI計画、企業理念体系やアイエンティティの見直し、社名変更等について、要望により研究テーマとして取り上げていきます。

株式会社オークジャパン 
サステナビリティ社会研究員/プランズマーケッター 近江美保

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