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「黒影紳士」season5-1幕〜世界戦線を打ち砕け!編〜🎩第五章 9隠れん坊 10情

9隠れん坊

「とは言え、風柳さん……黒影の隠れそうな場所とか無いんですか?ただでさえ、影の中にすっぽり隠れるんだから、こりゃあ相当難しいですよ。」
 一人の刑事が地図を見ながら言った。
「探偵社の社用車はあったんだ。余り遠くに行くにはきつい筈だ。黒影は体力勝負な方ではないからなぁ〜。」
 そんな話をしながらも、風柳はパトカーから流れる景色を、影や暗がりに注視しゆっくりと廻る。
「……そう言えば昔は何時も隠れん坊をしていたよ。懐かしいなぁ……。」
 と、風柳はぼんやり言った。
「へぇ……そんな時期が……。意外だなぁ〜。」
 刑事はそう言う。
「そうか?何処も一緒だろう?家事が怒る前は、普通の兄弟だったよ。」
 風柳はそう言って微笑んだ。
 ――――――――――――――
 光が降り注ぐ中庭で、二人で隠れん坊を良くしていた。
「もういいか?」
「時次(風柳)まだだって。」
「流石にもう良いだろう?」
「んー……良いよ……。」
 黒影の隠れ終わった合図の後、小さくクスッと笑う声がしたんだ。
 辺りを彼方此方探してみると、黒影が収まりそうな場所が見当たらない。
 ―――――――――――――――

「……で?どんな所に隠れていたんです?」
 と、刑事が聞いてきたので、ふと風柳は現実に引き戻される。
「……それが笑っちまうんだ。勲の奴、ずっと真後ろを付けて歩いていたり、いつの間にか数を数えていた傍に戻って隠れるんだよ。探し回ったら損をするんだよ。」
 と、風柳は言って……
「あっ……そうか。……探し回らなくて良い所だ。」
 と、気付いて思わず口から言葉を零す。
「えー、でも探し回らなくって良いって言ってもなぁ。」
 刑事は首を傾げる。
「最近、行った所……調べた所……黒影が潜伏出来る場所……。そうかっ!」
 風柳が慌ててスマホからサダノブに連絡をする。
 黒影の身を案じていた白雪とサダノブは直ぐに通話に出た。
「ああ、風柳だ。黒影が調査した犯人の殺害現場の住所……確か山の中だったな。暗いから、詳しいルートをくれないか。それと、……。」
 と、続けて署長から先程聞いた話をして、黒影から連絡があったら伝えてやるようにとサダノブにお願いする。
「分かりました!直ぐ詳細地図送ります……あの、先輩……頼みます!」
 サダノブは待っているのが辛いのか、切羽詰まった声でそう風柳に言った。
「安心しろ。サダノブの鳳凰も、俺の弟もただでやられるようか奴じゃないさ。俺が必ず……見つけ出す。サダノブ、白雪を他の兵器にされた能力者から守ってくれよ。じゃないと黒影が悲しむ。白雪はいざとなったら白梟になって庭にでも止まっていれば遣り過ごせる。分かったね。」
 と、風柳はいつもの優しい口調を最後に通話を切った。
「此方、風柳!これより山中の捜索に入る!各々準備!詳細地図を送る。要確認し、チーム行動されたし。以上!」
 風邪は無線機で、他の能力者案件特殊係全員の車両に告げた。
 ――――――――――――

「黒影――っ!!」
 風柳は真っ暗な山中を掻き分けて行く。
「勲くぅ――ん!」
 女刑事も男刑事を差し置く勢いで入り込む。
 ……本当に、マダムキラーだな、あいつは、と風柳は少し呆れたものの、こんなに愛される能力者は他にいないと、黒影にも見せてやりたいと思う。
 山中は月も翳り影だらけ。
 黒影が隠れるならば好都合だが、探すとなると厄介だ。
 横殴りの雨が雨具の帽子さえ吹き飛ばしそうだ。
 足場も悪い。
 あまり長時間、此処を探すのは得策では無いと思われたその時だった。
 ……そうだ、黒影は潔癖症だった。
「雨が降り出したのは何時だ?」
 風柳は隣の女刑事に声を掛ける。
「4時間程前らしいわ。」
 と、女刑事はスマホで気象情報を見てくれた。
「4時間……か。精々二時間で黒影ならコートがハットがと苛々し出すに違いない。そうか……あいつ!」
 風柳の顔がパッと明るくなる。
「分かったぞ!あのボコボコ多角形、犯人の殺害された現場にいる!中は相当あれているが、重点的に探すぞっ!」
 風柳は無線で言った。
 ――――――――――
 カモフラージュの為に被害者を殺した犯人達が散らかした為、家具を退かしながらの作業になる。
「本当にこんな所にいるんですか?殺害現場ですよ?」
 と、誰かが風柳に聞く。
「雨も凌げて、良い体力作りじゃないか。それに、だ、か、ら居るんだよ。人が嫌がる所に堂々といるのが黒影だ。」
 風柳はそう答えるも、手を動かすのを決して止めはしなかった。
「サダノブ、こりゃあ手間が掛かる。せめて黒影が調べた所、調査報告書に書いてないか?」
 風柳は薙ぎ倒された家具だらけでなかなか見つからず、サダノブにもう一度連絡を取る。
「あっ、はい分かりました。妙に箪笥がどうのこうのって、潜って調べていましたよ。」
 と、サダノブは調査報告書を送りながら、箪笥の話をする。
 風柳は届いた写真にある箪笥と目の前の箪笥を見比べた。
「否、幾ら黒影でもあんな隙間入れないだろう?」
 風柳はそんな馬鹿なとサダノブの勘違いだと思っている。
「あー、今馬鹿だと思ったでしょう?普通に入るんじゃないんですよ。脱力して、ペラペラになって滑り落ちるみたいに入るんです。風柳さんじゃ無理ですよ、きっと。じゃあ、また連絡待っていますから。」
 とサダノブは黒影が入れた理由を言った。
「ガリガリだからなあ〜……。なぁ!多分この箪笥の下にいる可能性が高いのだが、誰か入れるか?」
 風柳は男刑事は恰幅が良いのが多いので、女刑事に聞いた。
「あら?じゃあ、私迎えに行こうかしら?」
「ちょっと!抜け駆けっ!私も様子見る!」
 と、2.3人の女刑事が箪笥下を覗き込んだ。
「あっ、いたー♪勲くぅーん!今助けるからねぇー。」
 と、その言葉をきっかけに女刑事が手を伸ばすのだが、体は通るが、高さがあって手が届かない。
「あーもうっ!もうちょっとなのにぃ〜!」
 次第に誰が何一番に黒影にタッチ出来るかよく分からない競争が始まって、あーだのこーだのキャーキャー騒ぎ出す始末だ。
 その声に疲れ切っていた黒影が薄ら目を開ける。
「キャー!起きた!勲ちゃん、今助けるから手を取って〜♪」
 と、言うのだが黒影は、
「あ、すみません。自分で出られます。お心遣いだけ、受け取らせて頂きます。」
 そう、のっそり中で起き上がり手を伸ばし出てきた。
「ほら……ちゃんと迎えにきてやったぞ。」
 黒影が手を取ったのは風柳の手だけだった。
 戸棚に隠していたハットを被り直し、黒影は署長からの話を聞いた。
「……案外やる時はあるんだなぁ、署長も。でも、何時迄もって訳にはいかないですよね。あっ、皆さん僕を探してくれていたみたいで有難う御座います。」
 と、黒影は微笑む。
 こんなに追われていても疲れ果てていても、やはり周りを笑顔にするのは、黒影が鳳凰だからだろうか。
 全員が、安堵した次の瞬間だった。
 外で大きな落雷が起こったのか、大きな音と部屋中が一瞬昼間の様に光ったのだ。
 黒影は身軽に、家具から家具を移動し、外をみる。
「風柳さん!居るっ!いるんだっ!佐田 明仁と恐らく被害者を殺した電気系能力者の二名!雨の中は拙いっ、感電する。囲まれましたっ!」
 風柳は黒影の言葉に殺気を出し始める。
「……電気……だと?この雨にか?どうする?」
 明らかに不利なこの状況。
 既に黒影の居場所を、思考を読んで知っていた。
 そして、雨が降るこの絶好の機を待っていたに違いない。
「多少、対策はして来たのですよ。最近の傾向。……ある一つの能力が新しく誕生すると、それを起爆剤にするみたいにそれに近しい能力が次から次へ誕生する。
 このデータはFBIでも取れています。僕のロングコート……改造しておいて良かった。」
 そう言って、黒影は微笑んだ。
「何時の間に……。」
 風柳が聞くと、
「監視カメラ設置する前にちょちょいと。元から電波系統を纏ってましたしね。しかし……今の雷級……桁違いかも知れない。このまま此処にいても、確実に追いやられる。
 行くしかない……呼ばれているんなら、やってみるきゃあない。探偵の心得、一だ。」
 黒影は空を見上げて話した。
「……風柳さん……。」
 刑事らは黒影が賭ける時、危険だと分かっていて風柳に指示を仰いだ。
「何時もと同じだ。民間人を入れない……停電の恐れを報告。……俺も……黒影と行く。」
 と、風柳は言い出すのだ。
 能力者案件特殊係の面々は何を言い出すのか、と言う顔で風柳を見る。
「皆んなを裏切るつもりは無かった。元から滅多に姿を変えんし、能力でもなく一族の力だ。相手が二人ならば、何も出来なくても俺は、勲に着いて行く……。」
 風柳は大きな遠吠えをすると、白虎に姿を変えた。
「やっべ、カッコ良いっ!」
「なんだ、早く言ってくれれば良かったのに。」
「能力者慣れし過ぎて、普通よねぇー。やっぱ兄弟ねぇ。」

「じゃ、行ってきまーす。」
「導線確保♪無理しないで下さいねー。」
 と、刑事達は良くも悪くも慣れすぎて、あっそう……な、感想を置いて指示通りに向かった。
「風柳さん……態々、僕らに巻き込まれなくても良かったんですよ。」
 黒影はどうして風柳が白虎になったか分かり、少し屈んで白虎の頭を撫でた。
 能力のバレていない風柳さんには関係ない……なんて、言ったからだ。
 思考能力にも、電気にも勝てやしないのに。
 ただ、関係あると言いたかったのだ。
 ……もう一人じゃないんだと、言った言葉を本当にしてしまった。
 ……ならば、僕も護らねばならないものがある。
 だから、行かなくては……。
「風柳さんは不利だ。鳳凰陣を最大にする。サダノブが来るまで……それまで頼みます。」
 黒影はそう言うと、バチバチと小さな電気が行き交う雨の中へ飛び出し走りながら叫ぶ。
「蒼炎……赤炎……十方位鳳凰連斬解陣!」
 2枚の青と赤い炎の十方位鳳連斬が重なる。数回軽い感電を受け、痺れを感じながらも、中央鳳凰陣に滑り込んだ。
「鳳凰来義!」
 奥義を唱え……、鳳凰の翼を広げ、それは光輝く真っ赤な炎を散らした。孔雀の羽根が風に揺らめいている。
「願帰元命(がんきがんめい)……十方位鳳凰来義(しゅっぽういほうおうらいぎ)!……解陣!」
 此れが鳳凰の持つ、最終奥義。二色の炎の十方位鳳連斬が無ければ発動しない。
 この二陣が真っ赤に燃え盛り最大値に拡大する。
 通常は上空を飛び平和を乱すものを小さくする事が出来るが、今の雨と解陣に使った体力では最早、立っているのがやっとだ。
 しかし、これで良いのだ……。
 黒影はロングコートの電力を最大にし、鳳凰陣に置こうとした。
「ぅああー――っ!」
 一際、大きい雷が黒影に落雷し、黒影はコートの身体が後方へ宙を仰け反って飛んだ。
 佐田 明仁は黒影を仲間に入れたいだけで、殺しはしない。
 その考えは打算的であったのかも知れない。
 逆だ。敵になるくらいなら……此処で仕留めようと思っている。
 ……それに気付いた時には、黒影は意識を失っていた。

 ――――――――――――
「サダノブ、そろそろ寝れば?」
 と、白雪が言うのに、サダノブは何故かリビングの床に、登山リュクを腹に置き両手を通したまま、仔犬の様にプルプルと首を横に振る。
「ねぇ、そのリュック霊水入りペットボトルでしょう?お腹に置いたら、冷やすわよ。」
 と、白雪が言うのにガンとして止めない。
 白雪ははぁ〜と溜め息を付くと、サダノブのお腹とリュックの間にハーフケットを挟んでやる。
「ふふ……その姿みたら、黒影……なんて言うかしらん?」
 と、白雪が笑った時だ。
「あーっ!きたー!行ってきまーす!」
 なんて言い残すと、サダノブはかくんと一瞬意識が飛んだ様に見え、姿を消すではないか。
「えっ、あ……行ってらっしゃーい。」
 何だか分からないが、白雪はそう言った。

 ――――――――――――
「先輩!だからこー言う呼び方はって……あれ?風柳さん。」
 黒影を鳳凰陣に引っ張り風柳の白虎が威嚇していた。
「先輩?!態とじゃないやつ?……風柳さん、霊水!早く!」
 風柳は人間の姿に戻り、黒影の上半身を少し上げてやる。
 サダノブは霊水の入ったペットボトルを少しずつ、斜めにして飲ませた。
「鳳凰の体力はこれで何とかなる。……ただ、長時間雨に打たれすぎてどうだか……。」
 と、風柳はサダノブに状況を説明する。
「親父、こんなところで何サボってんの?ちゃんと罪、償ってた筈なんだけどなぁ〜。どう言う風の吹き回しだよっ!先輩、こんな目に合わせてまでよぉ!」
 サダノブは父親の佐田 明仁を見付けると、睨み付けた。
「私には成さねばならない事が出来た。……他では恐らく無理だ。……確かに、黒影さんには恩も感じているよ。しかし……だからこそ、敵にしたくない。……そう思える限り、先に倒さねばならん。」
 佐田 明仁は心の迷いを先に消そうとした。
 これから兵器と化した同類を消し去るならば、黒影と言う情すら容易く消し去る事が出来なくては、容易ではないと考えているのだ。
 無情になる為に……。

10 情

「サダノブ……。風柳さん……。」
 黒影が意識を取り戻すと、二人の姿が見える。
 風柳は己を支え、サダノブは佐田 明仁と睨み合っているが、黒影の前に護るように立ちはだかっていた。
「サダノブ、駄目だ!……まだお前には敵わないっ!」
 黒影はそう言い放ち、闘うなと止めようとする。
 佐田 明仁のほんの僅かな思考能力を受けただけで、サダノブが吹っ飛んだ昔を思い出しただけでゾッとするのだ。
 たった一瞬……見えもせずに……だから、思考能力者の闘いなど、見たく無い。
「黒影!思考に我々は関与出来ない!先に対処出来得る問題から、対処するしかない!」
 風柳はそう言って黒影の気を戻す。
「……それなら……もう出来ている。風柳さんが、僕を鳳凰陣へ連れて来てくれた、その時から……。」
 黒影はそう言うと、鳳凰奥義が解放されたままの十方位鳳凰来義陣、中央鳳凰陣にロングコートを脱ぎながら立ち上がると叩き付けた。
 鳳凰陣内は如何なるものでも守り流し込んだ力を連斬させ強くする特性を逆に利用し、ロングコートから最大にしたエネルギーを十方位鳳凰来義全体に流し込み、巨大な稲妻の光を上げる十方位鳳凰来義が出現する。
 真っ赤な鳳凰の炎では無い。
 青白い閃光を地表から噴き上げる十方位鳳凰来義陣は、上空に奇跡の青い鳳凰を映し出す。
 それはまるで大地から噴き出る命の様に、揺らいでは敵の放電を誘電し更に力を増して噴き上がるのだ。
 黒影はロングコートを拾いあげた。
 広がる裾はバサバサと靡き、青白い閃光を纏う。
「風柳さん……僕がサダノブに関与しないなんて、もう出来っこない。風柳さんが、僕に関係無いなど言わせないのと同じ……。」
 黒影は佐田 明仁とサダノブの闘いを見守る。
 この今、己を護ろうと立ち塞がる一人の男の本気をみたくなった。
 もう何処にも闘う力などない。
 それでも、信じ願う事ならば出来る。
「黒影さん、私は闘いたくないんですよ。息子とも貴方とも。そのくらい分かってもらえませんか。もし、これさえ越さねばならぬ道だと言うのならば、今……倒して行くのみ。」
 佐田 明仁はそう言うと、立っているだけでも脳破壊出来るのに、事もあろうかサダノブの頭に向かって掌を翳した。
 ……本気でくるっ!
 黒影は慌てて、思考能力をある程度薄める為に、己の影を両手を使い飛ばし、サダノブと佐田 明仁の間に飛ばす。
 そんなもの、気休め程度にしかならないと分かっていたが……。
「誰の頭、狙ってんだよ!糞親父がっ!」
 サダノブがそう言った。
 ……えっ?
 その時、黒影は初めて佐田 明仁が狙ったのが、サダノブではなくて黒影の脳だと気付く。
「許さねぇーっ!」
 サダノブは冷気を放ち、叫んだ。
「待て!サダノブ……殺すなっ!」
 黒影は慌てて、最後の力を振り絞ってサダノブが氷を拳から放つのを止める。
「……先輩、でも!」
 サダノブが振り返ると、黒影は下を向いたまま小さく笑っているではないか。
「せっ、先輩?」
 黒影は雨を全身に受け、両手を広げ笑い出す。
 それは絶望か……命の嘆きか……。
 青白い光を帯びた鳳凰が……嘲笑っているかの様だ。
「電力はもう相殺するだけ……サダノブは守護が強くなり過ぎて、佐田さん程の攻撃が出来なくても、無意識にガードが強くなっている。
 これは一体、何の茶番劇だ!
 笑わせるなよ、佐田 明仁!分かるだろう?今、闘う事がどんなに無意味かって事がっ!
 この戦況も即座に見極められない者が、能力者を守るだって?笑わせるなよ。よっぽど守るとは何か、ポチの方が分かってやがる。
 あはは……勘違いするなよ。僕はついていかないだけで、敵にも回らんよ。
 そんなに弱く見えるのなら、あんたも要らないだろう?
 ……いいか。
 これは能力者全てに継ぐ、僕からの宣戦布告だっ!

 この黒影……どちらについたとしても、殺しをした奴を許さない!地獄までも追い詰めてやるとなっ!

 心に止めておけ。佐田 明仁。残りの刑期、一時保留とされても、殺しをした時点で即この影が引き摺り込んでやるよ。牢獄の底の底まで。
 どうする?電気と火を混ぜる実験はまだやっていないんだ。」
 そう言い終えると、黒影は佐田 明仁に何時ものにっこりとした笑顔を見せるのだ。
「……その実験結果は知りたいが、巻き添えはごめんだ。何せ黒影さんの実験は規模が大き過ぎる。敵に回らない事を祈っています。なった時は……一番の危険因子とみなし、消させていただく。」
 佐田 明仁はそう言ったが、黒影は帽子を取り戯けてピエロの様にお辞儀をするだけだ。
「……先輩、良いんですか?」
 逃がそうとする、黒影にサダノブは聞いた。
「ああ、構わないよ。だって佐田 明仁の気にかかるサダノブは僕の手の内。それに……分かるんだ。ありゃあ、とっくに僕の戦略そのものに魅了されている。だから、欲しがるんだよ。……だ、け、ど♪
 僕は自由を愛している。
 雨がこんなに……心地よい……今日はそれで良いのだ。」
 黒影はそんな事を言ってびしょ濡れになると、ハットの水を切り、小さくご機嫌なスキップをしたかと思うと、「雨に唄えば」の鼻歌を歌う。

 その場に影すら残さず、彼は言った。
「絶望の先には何があると思う?
 絶望の先に絶望は立てもしないんだよ。

 ……まだ分からぬ虹色の未来しかないだろう?」

 ――黒影紳士season5-1とりあえずおわり――
で、す、が……やっと現時点で2024年1月15日三分の一ぐらいかな。
背中は見えてきたかな?先行く黒影を見付けられるかな?🎩🌹

🔸次の↓「黒影紳士」season5-2幕 第一章へ↓(此処からお急ぎ引っ越しの為、校正後日ゆっくりにつき、⚠️誤字脱字オンパレード注意報発令中ですが、この著者読み返さないで筆走らす癖が御座います。気の所為だと思って、面白い間違いなら笑って過ぎて下さい。皆んなそうします。そう言う微笑ましさで出来ている物語で御座います^ ^)

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泪澄  黒烏
お賽銭箱と言う名の実は骸骨の手が出てくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か当てになる。若しくは珈琲代。 なんてなぁ〜要らないよ。大事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に…てな。 如何してもなら、薔薇買って写メって皆で癒されるかな。