オトナセンチメンタル

ライター。書いたり読んだり育てたり育てられたり、の日々。 無言フォロー、失礼いたします(*^^*)

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マガジン

最近の記事

ここからみらい

この街が好きすぎて とうとう働く場所にした。 いままでの仕事とはだいぶ違うし ここまで大人数のオフィスも初めて。 休憩室からはみなとみらいが見える。 昼休みは緩んだおしゃべりで満たされ たくさんの女の人がいるけれど 知っている人は一人もいない。 おしゃべりしたいわけじゃないから さみしくはない。 大きな窓の向こうの海と空。 未来のように広がる。 心地よい一人時間と みんなで取り組む仕事。 安心と緊張と孤独と連帯と ここには私にとっての安心や得意があった。 今までライター

    • 毒を吐く。冷たい人と言われても

      今月は大好きな街で働いている。 久しぶりに乗る通勤電車。 港に近い街に降り立つ。 朝の顔をした人たちに紛れ 動く歩道に乗りながら 気持ちを仕事モードに切り替えてゆく。 おはよう、ヨコハマみなとみらい。 心が晴れてゆく。 この街にいる、ただそれだけで。 ここで働くことを選んだことは 間違っていなかった。 ここに立つために 振り切ってきたものや 優先順位を下げたものがある。 ひとつは母のこと。 母は私が外で働くことを喜ばない。 近くにいてほしいと縛る。 昔からそうだった。

      • ハンドルを握ること

        車で15分ほどのショッピングモールへ向かう。 つもりで、家を出発した。 けれど、なんていうか、気持ちが向かわない。 休日のショッピングモールのファミリー感や 混雑がめんどくさいな、と思ってしまう。 子どもに頼まれている、時計の電池交換さえできれば、あとの買い物は他の場所でも事は足りる。 行き先変更、少し離れた町へ。 そこなら居心地の良いカフェもある。 こんなふうに、車に乗ってから行き先を変更したり、思い立って、予定外の場所へ寄ったり、ということが最近わりとある。 免許を

        • 掌編・トウキョウバナナ

           話題のクッキー専門店に並ぶ人の列が、今日は短い。目玉商品が早々に売り切れたらしい。最近は帰省時期に関係なく、東京駅土産がSNSで話題になる。チーズケーキやインスタ映えするクッキー、お土産じゃなくて自分が食べたいスイーツを求めて、平日朝から長蛇の列をなす。その様子をながめながら、私は駅構内で駅弁を売る。  日々、東京駅で働いているのに、ここから2時間足らずの実家には、もう2年近く帰っていない。故郷では今、私が転職して代官山のIT企業で働いていることになっている。母や近所のお

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        • 私的Book Cafe
          2本
        • センチメンタルカフェ
          3本

        記事

          薄暮の街へたどりつき

          大手町から神保町まで歩こうと思ったら、道を間違えてとんでもない遠回りをしてしまった。 方向音痴ではないという自負があり、知らない場所でもわりと平気で歩ける。 けれど、その日は途中で雨も降ってくるし、直前の仕事での不完全燃焼さもあいまって、見知らぬ景色と周囲のビジネスマンたちの迷いのない足取りが、気持ちを乱す。 頼れるのはグーグルマップだけ、という心細さ。 方向感覚を失ったままグルグル歩き回っていたら突然、絵本の森の入口みたいな場所が。グリーンのリースやオリーブの木や多肉植物

          薄暮の街へたどりつき

          続・少しのセンチメンタルと

          自転車を走らせ、仕事へ向かう朝。 秋らしくない気候が続くけれど、朝方の風は さすがに秋めいて、シャツの裾をふくらませる。 小学校の登校時間を少し過ぎているけれど、あの子に会わなかった。 今日は遅刻せずに行ったのかな。 朝のチャイムが鳴った少し後に、とぼとぼと学校へ向かう男の子。 うつむきがちな日、前を見据えて挑むような目をしている日、いずれも気になって、すれ違いながら行ってらっしゃいと、心でつぶやく。 高校生たちは颯爽と自転車で走っていく。 毎日学校楽しいかな。 柿の木の

          続・少しのセンチメンタルと

          少しのセンチメンタルと

          好きなことやりなさい、じゃないと あっという間に70歳になるわよ! もうすぐ70歳になる、人生の先輩の言葉。 まだまだ現役で働くおばちゃんからの “送る言葉”。 ライターと並行して続けていた、お花屋さんの仕事を今月いっぱいで離れることにしました。 好きな場所で働けて、幸せな時間だったなんて綺麗事では済まない環境だった。 植物の放つパワーや幸せオーラをもらうのと引き換えに、ずいぶん人間に傷つけられた。 人のことを嫌うマイナスパワーをもう手放したい。 自信喪失した心に、仕

          少しのセンチメンタルと

          お祭りの匂い

          夕暮れが早くなった。 夏時間がしみついているから 時計の針と空の色の“時差”に驚く。 閉店時間が近いパン屋さんに寄った帰り道、 信号近くのガードレールに寄りかかって ジュースを飲んでいる女の子が2人。 話は尽きないだろうけど そろそろお帰りよ。 ジュースの人工的な甘い香りは 夏の終わりと1日の終わりとの どこか通じるウラ寂しさを呼び起こす。 すぐそばの信号待ちで 自転車に乗った親子と一緒になった。 「ねぇ、なんかいい匂いがする」 小学校低学年くらいの男の子がお母さんに言う

          感謝をこめてリスタート

          夏を騒がせた雲たちが 翼の形をもらって 飛び立ってゆくのを目で追う 季節の巡りがもたらすのは 少しの不安とときめき いつもいつもボクらは 追いかけながら追われているような うまく伝えられない言葉や夢 そんな下書きだらけの胸のうちは どんなにうまく書けた夏休みの日記よりも 本当のことで埋め尽くされてる 言葉にすれば 嘘のように聞こえてしまう 嘘ではないのに 心と景色が分離して 作り物の背景のようで 醒めてゆくけれど 言葉にすれば 動き出す物語 まだ見ぬ何かと 誰かと出

          感謝をこめてリスタート

          遠く近く

          いつもいつも遠くばかり見つめてきた気がする。 だから、この差し迫った一点の問題だけを見つめて決断をしなければならない、という状況が苦手。 特に、いまトラブルになっていたとしても、長い目で見たらそのとき限りのゴタゴタに思えること。 きっと来年のいま頃は、そんなこと誰も覚えてないよ、と思う程度のことに煩わされることが面白くない。 とはいえ、もしもここで出した答えが道を閉ざしてしまったら? そんなことも考えはするけれど、先へ続く時間があるならば、やりようで道はひらけるはずだと

          レーズンサンドとダックワーズ

          何をしていても引っかかってくるモヤモヤが払い除けられない午後。 傷ついている人を見ることで自分も傷つく、という出来事。 一緒に憤るのが良いのか、感情的にならずになだめるのが良いのか。 たぶん正解は、相手の感情に巻き込まれずに冷静でいること。 けれど、正しいことって時として人を悲しくさせる。 正論が聞きたいんじゃないのに、と虚しく思ったことが何度もある。 大人げないけれど、今回は彼女と一緒になって憤って、理不尽な物言いで人を傷つけて平気でいるおじさんの悪態をつこう。 大

          レーズンサンドとダックワーズ

          イマソラ…そのまなざし

          3年がひとつの区切り、そんなふうにいわれた3年が経つ。 父が旅立ち、という表現も今ひとつしっくり来ないくらい、いまだにどこかへ出かけているだけのような気もする。 この時期特有のはっきりしない天気はあの日と同じ。あのときも私は、今日みたいに薄手の長袖を着ていた。嘘みたいにいなくなってしまうんだなと、どうにもできなかった感じがよみがえって嫌だ。 毎日、病室で空模様を見ていた。 以来私は、ふとしたとき空に父のまなざしを感じ取る。 今日の空は厚い雲ばかりで、けれど荒れてはいない。

          イマソラ…そのまなざし

          「桜、きれい」の先に見ている景色

          夜桜を見に子どもとでかけた。 そのあとカフェでご飯たべようよ、と誘ったら、喜んで行くとついて来た。 わざわざ夜から桜を見に出かけるなんて、子どもがそんなことができる年齢になっていたことに、まず驚く。 風邪をひかせてはいけないとか、寝る時間が遅くなってしまうとか、もうあんまり考えなくていい年になっていた。 満開の桜並木、思ったほど人はいなかった。 特に桜に目をくれるでもなく歩く、仕事帰りらしき人たちとすれ違うくらい。 スマホを持ち始めた子どもが、桜の木の幹のひこばえを撮影し

          「桜、きれい」の先に見ている景色

          その時間の流れに飛び込むために

          昼下がりのコーヒーショップ。 一人客が多く、テーブルごとに思い思いの時間が流れている。 人に流れている時間というのは、ひとりひとり違うんじゃないか。 飛ぶように流れていたり、ぽっかり穴が空いたように消えていったり、大河の淀みのようであったり。 どれが良いとか悪いとかではなく、それぞれ異なった時間を生きていながら、流れのタイミングが合って気持ちがガッチリとはまり込んだり、あるいはすれ違ったりする不思議。 波長が合う、合わないも、そのあたりからくるのだろうか。 隣のテーブル

          その時間の流れに飛び込むために

          何食わぬ顔で殻を破る

          なんというか、殻を破れればね 以前参加していた創作講座の講師に 何度かそう言われた。 作品を少しばかり褒められたその後に。 閉じこもっているつもりはないけれど その頃私が書いた作品はどこかちんまりとして お行儀が良すぎたらしい。 普通と思っていた道から少し外れたつもりで 冒険もしている気でいたから そう言われるのは不満だった。 けれど、はみ出した気でいたのは自分だけで ムリをしたりカッコつけたりしても それは他の人が見ても気づかないくらい ささやかなポーズでしかなかった

          何食わぬ顔で殻を破る

          雪とホットレモネード

          たいして積もらなかった雪にがっかりしながら、1日を過ごした。 最近の子どもたちは、中学生になると雪を喜ばない。タイツ禁止、スニーカーでの通学が大変だから。 小学生はいつもより機嫌よく、雪道を出かけていった。 小学生の気持ちを理解できる程度に、自分に余裕があるのがうれしい。 大きな予定のない日をつくることの大事さを思う。 気持ちに余裕があると、温かな飲み物を飲みたくなる。冬でもアイスコーヒーを頼んでしまう私は、猫舌だからというだけでなく、基本的に温かなものをゆっくり味わう余

          雪とホットレモネード