イマソラ…そのまなざし
3年がひとつの区切り、そんなふうにいわれた3年が経つ。
父が旅立ち、という表現も今ひとつしっくり来ないくらい、いまだにどこかへ出かけているだけのような気もする。
この時期特有のはっきりしない天気はあの日と同じ。あのときも私は、今日みたいに薄手の長袖を着ていた。嘘みたいにいなくなってしまうんだなと、どうにもできなかった感じがよみがえって嫌だ。
毎日、病室で空模様を見ていた。
以来私は、ふとしたとき空に父のまなざしを感じ取る。
今日の空は厚い雲ばかりで、けれど荒れてはいない。
明日の七夕も、天の川は期待できないかな。
病院のロビーにあった、大きな七夕飾り。
色とりどりの短冊は、病気に関する切実な願いばかりかと思いきや、受験合格祈願もあった。
私の願いは叶わなかったから、というわけでもないけれど、私はもう七夕には願い事は書かない。
それでも、天の川は見たいと思う。
あえてこの日に益田ミリさんの『永遠のおでかけ』を読んで、少し泣いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いまだに父の旅立ちを、すんなりとは人に話せません。
でもこうしてここに、こっそりと気持ちを残しておきたいと思えるだけの時間はすぎたのですね。