何食わぬ顔で殻を破る
なんというか、殻を破れればね
以前参加していた創作講座の講師に
何度かそう言われた。
作品を少しばかり褒められたその後に。
閉じこもっているつもりはないけれど
その頃私が書いた作品はどこかちんまりとして
お行儀が良すぎたらしい。
普通と思っていた道から少し外れたつもりで
冒険もしている気でいたから
そう言われるのは不満だった。
けれど、はみ出した気でいたのは自分だけで
ムリをしたりカッコつけたりしても
それは他の人が見ても気づかないくらい
ささやかなポーズでしかなかったらしい。
殻を破るってなんだろう。
ずっと考えてきた。
周囲にしわ寄せがくるような、突拍子もないことをしないとだめなの?
好きでをもないことに首をつっこんでみること?
何か特殊な体験でもないと、おもしろい話は書けないんだろうか。
こうでなくちゃという思い込みを外すこと。
閉じこもってないで、心を開いてドアを開けること。
あれこれ足掻いて、そんなところに辿り着いて
いろんな思い込みに縛られている自分に気づく。
殻を破らないとと躍起になるのも、よく考えればなんだか変な話。
殻を破るって、奇抜さや、おもしろいことをやることだけでなく、頭の柔らかさなのだろう。
縛りがない分、新しいことも入りやすく、気づきもある。
そして、私が思う頭の柔らかい人は、たいてい機嫌が良い。
不機嫌でいると、視野も世界も狭まる。
そうだ、できるだけ機嫌よくいたい。
殻を破ろうと、何も天と地をひっくり返す必要はない。
攻撃的でもなく、ガツガツせずとも、何食わぬ顔して革新的。
それってかっこいいな。
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