江川哲学用語集(目次)
昔、私などより遥かに聡明なY君が「江川隆男って難しいから…」と敬遠しているのを見て、ああ、やっぱりとっつきにくい書物なのかなと思った。全く哲学に触れたことのない家族などに見せても、まず「戦争機械ってなに?」「器官なき身体ってなに?」など、疑問のオンパレードである。たしかに本の中で使われている特殊な用語が、敷居を高めていることは事実かもしれない。といってもすべての用語が江川オリジナルというわけではもちろんなく、主にスピノザとドゥルーズ=ガタリをしっかり学んでおけばいくらかは対処できる。だがそれを初学者に促すのはちと傲岸不遜だ。芳川泰久・堀千晶『ドゥルーズ キーワード89』のような便利な本もあるが、それのもっと江川バージョンを作ってみたいと思い、とりあえず目次だけ作ってみた。本当はWikipediaのように、各項目をクリックするとハイパーリンクで用語説明のページに飛べるようにしたいのだが、それはこれから時間をかけてやっていこう。とりあえず、以下の言葉の8割くらいがわからないと、江川哲学を理解したとは言えないだろう。
もちろんこのような分析的解説にとどまるアプローチは、江川当人が説く総合としての哲学の営みからはかけ離れたものであるかもしれない。だが少しでも読者の敷居を下げることができれば、とりあえずの目標は達成としたい。
〈目次〉
あ
アナーキズム
新しい主観性
アナロジー
一義性⇄多義性
イマージュなき思考(思考のイマージュ)
意味⇄無意味
ウークオン⇄メーオン
永遠回帰(脱輪)
遠近法主義
オピニオン
か
外延量⇄内包量
外部性の形式⇄内部性の形式
顔(化)
カオスモス
数える数⇄数えられる数
可塑性
可能性⇄必然性
関係=比⇄関係=連関
関係の外在性
感情の幾何学⇄感情の体制
観念
観念の観念⇄身体の身体
機械論(マシニスム)
器官なき身体
記号-微粒子群
擬人化
来るべき民衆
共可能性⇄非共可能性
共通概念(適用⇄形成の秩序)
強度(=0、落下)
群衆⇄群れ
形式⇄内容(実質、表現)
形相的有⇄想念的有
系譜学(的逆行)
原子なきクリナメン⇄クリナメンなき原子
言表
個体化
個物(最単純物体)
此性(このもの性)(個別性、一般性、特異性、普遍性)
さ
差異
最近原因
最小回路⇄巨大回路
作動配列
三角回路
残酷⇄至福
時間の三つの総合
自己原因(作用原因)
自殺
持続
十全⇄非十全
自由、自由意志
準原因
条里⇄平滑
事例(case⇄sample)
身体
スカラー記号⇄ベクトル記号
習慣
精神分析
生成変化
折衝(ゲリラ戦)
選言総合
戦争機械
潜在性⇄現働性
総合⇄分析
属性
素材(マチエール)
外の思考
存立平面
た
ダイアグラム(図表)
対象性
大地⇄大気
多様体
地図作成法⇄複写術
地層
中間休止
抽象機械
超越論的-経験的二重体
超越論的経験論
超人
T、U、F、Φ
出来事
特性(構成、産出)
な
内在⇄超越
難民
二元論
二重分節
ニヒリズム(の四段階)
ノマド
は
媒介⇄無媒介
発散⇄収束
発生論
速さと遅さ
反実現
汎通的規定⇄非汎通的規定
反転
反復
批判
非P
非物体的変形
被〇〇態(被観性)
表現⇄表象
副言⇄対言
ブロック
プラグマティック
分裂的総合(分裂症化、分裂分析)
並行論
別の仕方で(別の身体へ)
ヘテロリズム
本性同一性障害
ま
無仮説の原理
無限知性(無限身体)
無能力(無力能)
や
唯物論
様相⇄無様相
欲望
ら
離接的総合
リゾーム
倫理⇄道徳
わ
〈著作略号〉
『存差』=『存在と差異』
『ストア』=『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』解説
『AM』=『アンチ・モラリア』
『超人』=『超人の倫理』
『スピ』=『スピノザ『エチカ』講義』
『すべつね』=『すべてはつねに別のものである』
『残酷』=『残酷と無能力』(『死の哲学』もここにまとめる)
『内在』=『内在性の問題』
『NP』=『ニーチェと哲学』
『DR』=『差異と反復』
『LS』=『意味の論理学』
『AŒ』=『アンチ・オイディプス』
『MP』=『千のプラトー』
『D』=『ディアローグ』
『QP』=『哲学とは何か』
『KrV』=『純粋理性批判』
ーーーーー
以上はワークインプログレスである。