濱口竜介『他なる映画と1』書評
「つながらないもののつながり」。これに類する言葉が本書で一体何度繰り返されただろうか。その言明は、映画のショットとショットとの間のそれ、映像と音声と間のそれ、時間と空間の間のそれといったふうにさまざまに変奏され、さらには最終章で小津を論じるにあたっては「周吉の言葉は、私たちが無関係であることこそ、むしろ最も深くつながり合うための条件であると示しています」とも述べられているのだから、これらを著者のある種の倫理観として受け取ることさえできるかもしれない。ただし単純化は慎まなければ