河童考―その歪められた正体を探る
河童の正体について、いろいろと考察した本です。
過激な論はなく、穏当で、おおむね、理解できる論でした。
河童の名称、河童の性質、民俗学から見た河童、美術の中に現われる河童など、さまざまな面から、河童に迫っています。
「河童に似て非なるもの」についても、取り上げています。河伯【かはく】、ミズチ、猿、川獺【かわうそ】、カメなどです。
ただし、ここで言う「河童に似て非なるもの」とは、著者の考えです。私は、必ずしも、著者の考えすべてには、納得できませんでした。
例えば、河伯、ミズチなどと呼ばれたものの中には、河童と同一視できるものも、あったと思います。
それでも、河童について、多くの示唆に富んだ指摘がなされています。
河童を知りたいなら、一読して、損はないでしょう。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
一 河童の伝承
1 はじめに
2 河童の名称
3 書かれた河童
4 語られた河童
5 描かれた河童
6 柳田国男の河童論
7 折口信夫【おりくち しのぶ】の「河童の話」
8 河童の由来
9 河童の去来
二 河童に擬せられたもの
10 河伯【かはく】
11 ミズチ
12 猿
13 川獺【かわうそ】
14 カメ
15 ヒョウスベ
三 河童の正体
16 人を取る河童
17 相撲を好む河童
18 水神祭
19 胡瓜【きゅうり】を好む河童
20 河童の嫌うもの
21 猿生肝譚【さる いきぎも たん】
22 河童の妙薬
23 河童の見世物
24 河童除けの歌
25 瓢箪【ひょうたん】と河童
26 海神小童
27 まとめ
おわりに
主要参考文献