虫を食べる人びと (平凡社ライブラリー)
題名のとおり、昆虫を食べる人びとを紹介した本です。
「昆虫を食べる」というと、「うへえ、気持ち悪い」と思う方が、多いでしょうね。
けれども、世界を見れば、思ったより多くの地域で、昆虫が食べられています。
なにも、世界に出なくても、この日本にも、昆虫食の伝統があります。長野県など、一部の地方では、今でも、昆虫食の習慣が残っています。
その割に、昆虫食が、マスメディアで取り上げられることは、少ないですね。
これは、日本の多くの地方で、昆虫が「気持ち悪いもの」とされてしまっているからでしょう。「そんなものを食べるところを、映像なんかで見せたら、苦情が殺到する」と思われているんです。
それは、とても残念なことです。
本書を読めば、皆さん、そう思うでしょう。
本書には、世界各地の豊かな昆虫食の実態が、書かれているからです。
本書では、昆虫食を切り口にして、世界のさまざまな食文化を知ることができます。
「こういう世界も、あったのか」と、目を開かれる思いです。
メディアに載る世界だけが、世界ではありません。
本書を読んでいると、ヤシオオオサゾウムシという、ゾウムシの一種が、よく出てきます。パプアニューギニアなどで食べられている昆虫です。ヤシの木に食い入っている幼虫を採集して、食べます。
これが、とても美味しそうで……ニューギニアまで、ヤシオオオサゾウムシを食べに行きたくなります(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
第一章 人はなぜ虫を食べるか
第二章 虫の食べ方
第三章 日本の昆虫食
一 昆虫食の歴史(田中 誠)
二 現代の日本で食べられている虫
第四章 グルメの国、中国の昆虫食
一 虫食いの伝統(茅 洪新)
二 食虫習俗見聞記(梅谷 献二)
第五章 熱いアジアの昆虫食
一 アジア諸国の虫の食べ方
二 タイの食虫習俗今昔(桑原 雅彦)
三 パプアニューギニアのサクサク・ビナタン
四 戦地でのサクサク・ビナタン食の思い出(鈴木 芳久)
第六章 オーストラリアとオセアニア諸島の昆虫食
第七章 アメリカおよびヨーロッパの昆虫食
一 北米インディアンの昆虫食
二 高まる昆虫食への関心
三 昆虫の宝庫、中・南米では
四 メキシコの多彩な昆虫食とレストラン料理
五 食虫途上国、ヨーロッパ
第八章 アフリカの昆虫食
一 昆虫消費大国
二 ベンバの人たちの食べる虫(杉山 祐子)
第九章 虫の栄養
第一〇章 これからの昆虫食
おわりに
平凡社ライブラリー版 あとがき
解説―昆虫食の多様性と奥の深さ 小西 正泰
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