異界談義 (知恵の森文庫 t つ 2-1)
異界、つまり、この世とは違う世界について、さまざまな切り口からとらえた本です。
死後の世界、妖怪、イタコ、風水、都市伝説などに興味がある方に、お勧めします。
本書は、二〇〇一年に、国立歴史民俗博物館で開催された「異界万華鏡―あの世・妖怪・占い―」という展覧会に付随して作られました。
この展覧会に際して、「異界万華鏡を語る」というフォーラムが開かれたのですね。このフォーラムの内容を拡充したものが、本書だそうです。
私は、「異界万華鏡」の展覧会のほうは、見に行きました。とても面白かったです(^^)
残念ながら、フォーラムのほうは、参加していません。
「異界万華鏡」を見たり、フォーラムを聴いたりして、面白かった方は、ぜひ、本書も手に取ってみて下さい。
妖怪やら、死後の世界やらといった、オカルト的なものが好きな方にとっては、本書のどの項目も、興味深いと思います。
特に、第四章は、オカルトファンにも、あまり知られない知見が書かれています。日本における風水や、家相について知りたい方は、必読です。
二〇一一年現在、本書は、古本でしか入手できないようです。二〇〇八年に出たばかりの本ですのに。
このような良書を、事実上、品切れのままにしておくのは、もったいないですね。関係者の方々に、善処をお願いしたいです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
第一章 異界万華鏡――「あの世」今昔――
第一節 妖怪絵巻と民間説話――「土佐お化け草紙」の民俗的背景 常光 徹【つねみつ とおる】
第二節 亡き人を想う――遺影の誕生 山田慎也
第三節 韓国の都市伝説 島村恭則【しまむら たかのり】
第四節 音の想像力と異界 内田順子
第二章 異界談義――想像力が生み出した「妖怪」文化――
第一節 描かれた妖怪 京極夏彦
第二節 異界をめぐる想像力 小松和彦
第三節 共有財産としての妖怪 京極夏彦/小松和彦
第三章 死人に口あり――民俗宗教における死者との対話―― 池上良正【いけがみ よしまさ】
第一節 非業の死と近代
第二節 イタコと口寄せ
第三節 死者との対話と民間巫者
第四章 「おに」の来ない鬼門――風水をめぐる異界観―― 鈴木一馨【すずき いっけい】
第一節 鬼門と北東の関係
第二節 鬼門鎮護と「鬼」の意味
第三節 中国における風水と鬼門
刊行までの経緯
文庫版のためのあとがき
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