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神・人間・動物―伝承を生きる世界 (講談社学術文庫)


神・人間・動物―伝承を生きる世界 (講談社学術文庫)

 優れた民俗学者でいらっしゃる、谷川健一さんの著作です。
 日本の民俗信仰について、書かれた本です。
 題名のとおり、神と人間と動物との関係が、解説されています。

 どこの国でもそうですが、古くさかのぼると、動物に対する信仰がありますね。
 日本は、その信仰が、現代にまで残っている国です。日本人の魂に触れる信仰が、取り上げられています。

 高齢の方なら、「そういえば、そんなことがあった」と、懐かしい記憶を思い起こされるかも知れません。
 若い方は、少し前までこの国にあった、異界に驚かれるかも知れません。

 日本人として、知っておいたほうがいいことが、本書に書かれています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

学術文庫のためのまえがき

遠野から――プロローグ
 「自然の摂理」とは?
 追われる野獣
 神にまつられた狐狼【きつねおおかみ】
 海神の使者=鮭【さけ】
 動物儀礼と共同幻覚
 生活者にとっての動物

霊界をはばたく使者――白鳥【はくちょう】
 伝承の中の白鳥
 「産土【おぼすな】さま」になった白鳥
 「白鳥【しらとり】事件」といわれる争い
 北から渡来する神霊

海を照らす神【あや】しき光――海蛇【うみへび】
 「神光照海」の扁額【へんがく】
 竜蛇神をめぐる神事
 セグロウミヘビの威厳
 家に入った蛇
 大和の竜蛇信仰

海神【わたつみ】の娘――鮫【さめ】
 竜宮の姫はだれか?
 鮫と寄り添うイルカ
 人を食った鮫
 鮫に助けられた話
 海人=異族の悲話

もの言う南海の人魚――儒艮【ジュゴン】
 津波を起こす魚=ザン
 ジュゴン(ザン)の正体
 新城【あらぐすく】島のザン漁と巻踊り
 人魚を食った八百比丘尼

狩りに騒ぐ太古の血――鹿
 狩りの主賓だった鹿
 「殉教者」としての鹿
 志賀島【しかのしま】と鹿卜【ろくぼく】の記憶
 鹿衣・鹿杖・鹿笛
 伝説の優しさと無残な乱獲

黄泉【よみ】への誘い鳥――鵜【う】
 能登の海鵜【うみう】
 「鵜取部【うとりべ】」と鵜の役割
 「生と死」と鵜の関係
 鵜を利用してきた人間
 現代の鵜飼【うかい】

不死と再生の象徴――蛇
 土器と土偶に残された蛇
 さまざまな蛇伝説
 神と蛇の生殖
 「創世記」に似た話の意味

狩言葉に満ちた世界――猪【いのしし】
 『後狩詞記【のちのかりことばのき】』の村へ
 椎葉村【しいばそん】の猪狩り
 猪と神々の間柄
 「生類憐【しょうるいあわれ】みの令【れい】」下の猪退治
 猟師言葉「ソジシ」の意味

葛葉【くずのは】の神秘と幻想――狐【きつね】
 予兆力を期待された獣
 狐と狼との関係
 葛葉神社と葛葉伝説
 女の血筋と狐憑【きつねつ】き
 病める現象=狐憑きの問題

北の異族の匂い――鮭【さけ】
 川をのぼる鮭の感動
 アイヌの宝=鮭
 利権と保護の争い
 日常食から正月魚へ

荒ぶる山の神――熊【くま】
 熊狩りと禁忌
 狩りの方法と熊の商品価値
 アイヌと熊の関係
 怖れられた山の王者

エピローグ

解説  別役 実【べつやく みのる】



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