バベル17
SF小説の傑作です(^^)
分類するなら、言語SFですね。言語というものが、とても効果的な小道具として、使われています。
他には、このような作品は、ほとんど存在しません。独創的な作品です。
舞台は、人類が宇宙に広がっている、遥かな未来です。主人公は、言語の天才にして詩人のリドラ・ウォン、女性です。
ある時、宇宙のあちこちで、テロ事件が相次ぎます。それらのテロが起こる直前に、謎の言語による通信が、急激に起こっていることに、宇宙政府の関係者が気づきました。その言語は、バベル‐17と名づけられます。
バベル‐17を解読するために採用されたのが、われらがヒロイン、リドラです。
彼女は、バベル‐17を、一部、解読することに成功します。そして、次なるテロ事件を防ぐために、自ら宇宙船の船長となって、宇宙へ飛び立ちます。
しかし、バベル‐17は、私たちが思うような、「普通の言語」ではありませんでした。
そのために、リドラの旅は、波乱に満ちたものとなります。
SFというと、理系の人が読むものと思う方が、多いかも知れませんね。
けれども、本書は、文系の人でも、楽しく読めると思います。むしろ、言語に興味がある文系の人のほうが、楽しいかも知れません。
ただ、ところどころ、古さを感じる部分もあります。書かれた時代が古い(一九六六年!)ため、仕方ありませんね。このために、評価の星を一つ減らしました。
四十年以上も前に、外国で書かれた作品が、いまだに読まれ続けているのは、本作が傑作である証拠です(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第一部 リドラ・ウォン
第二部 ヴェル・ドルコ
第三部 ジェベル・タリク
第四部 ザ・ブッチャー
第五部 マルクス・トゥムワルバ
解説/米村秀雄