私のプリニウス
二十世紀日本の碩学【せきがく】、澁澤龍彦【しぶさわ たつひこ】が、古代ローマの碩学、プリニウスの著作を紹介した本です。
この二人の碩学が出会って、面白くないはずがありません(^^)
プリニウスの著作のうち、現代にまで残っているのは、『博物誌』ただ一つです。『博物誌』は、その題名のとおり、動物、植物、鉱物、地理など、当時のありとあらゆる知識を集めた本です。
現代から見れば、荒唐無稽な話も、多く載っています。魔術や、妖怪に類することも多いのですね。そこが、面白いのです(^^)
『博物誌』は、膨大な量の知識を集めているため、読むのが大変です。精神的に疲れるばかりでなく、物理的に、持つのが大変な本でもあります。重いんですよ……。
値段も高いので、経済的にも、持つのが困難です。
そんなわけで、普通の人にとっては、『博物誌』をそのまま読むのは、ハードルが高いです。
本書『私のプリニウス』は、そのハードルを、思いきり、下げてくれています(^^)
澁澤氏の目で見て、『博物誌』の面白い部分を、紹介しています。つまみ食い的プリニウスです。
『博物誌』ほどの巨大な書物であれば、むしろ、つまみ食い的読み方が正しいのではないかと思います。
人類の中に、『博物誌』をすべて読み通せる人は、そう多くはないでしょう(笑)
やさしく、読みやすい文章です。文庫本という、手軽な形なのも、嬉しいですね。
本書で、真偽が定かでない、怪しい古代世界に、遊んでみましょう。澁澤氏と一緒に(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
迷宮と日時計
エティオピアの怪獣
セックスと横隔膜【おうかくまく】
海ウサギと海の動物たち
薬草と毒草
カメレオンとサラマンドラ
琥珀
畸形人間
鏡
世界の不思議
磁石
鳥と風卵
アネモネとサフラン
頭足類
スカラベと蝉
宝石
誕生と死
地球と星
天変地異
真珠と珊瑚【さんご】
香料
象
あとがき