昆虫食先進国ニッポン
昆虫食とは、文字どおり、昆虫を食べることです。
そう言うと、多くの人は、「ゲテモノ食いの話か」と、顔をしかめるでしょう。
とんでもない! 昆虫食は、日本の伝統の一つです。
本書を読めば、それがわかります。
イナゴや蜂の子を食べるのは、日本人なら、聞いたことがあるでしょう。あれは、貧しくて、他に食べる物がないから、どうしようもなく食べていたのではありません。
「美味しい」から、食べるんです(^^)
イナゴと、蜂の子は、私も実際に食べたことがあります。美味しいと感じました(^o^)
昆虫の「美味しさ」には、単なる味覚以上のものが含まれます。「獲って、食べる」その過程が、美味しさを増しています。
でなければ、「蜂の子を求めて、獲って食べる」ことを趣味にしている人が、存在することを、説明できません。
そういう人が、日本には、(普通の人が思う以上に)おおぜい、存在します。
本書では、昆虫食を、決して、ゲテモノ扱いしていません。
まじめに、研究対象とするに値するものとして、とらえています。
とはいえ、本書の記述は、堅苦しくはありません。普通に読めます。
本書を読めば、日本の文化について、目を開かれるところが、多いでしょう。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第1章 積極的な食文化としての昆虫食
1 世界は虫を食べている
2 日常食、そしてごちそうとして
3 昆虫食を”文化”として研究する
コラム I 日本で食べられていた昆虫たち
第2章 ハチの採集技術とその方法
1 はちの子は全国で普通に食べていた食材
2 知恵の集積――「ハチ追い」の技
ハタラキバチの追尾/目を見張る追跡の技術/道なき道を走る/スカシの技/
農作業の合間に発見/採る時期のこだわり/巣を掘り出すにも技あり
3 野生を育てるおもしろさ――飼い巣
4 ハチを味わう
5 ハチ追いの醍醐味
6 クロスズメバチ採りの広がりと保護
東西で異なるオオスズメバチの採り方、食べ方/三河地方の「クマバチ」採り/
オオスズメバチを食べる
7 九州山地のオオスズメバチ採り
九州での食べ方
コラム II 多種多様な食用昆虫の方言
第3章 旬の味覚を担う家庭料理としての側面 食べる虫の代表選手、イナゴ
1 全国的に食べられていたイナゴ
2 漁村でもイナゴ採りをする
3 イナゴ採りの実際
4 イナゴ食の盛衰
5 魅惑のイナゴ料理
下ごしらえ/調理/食べる
6 「イナゴと戦争」
7 学校行事に取り入れられる
8 イナゴ採り師の活躍
9 活きイナゴに人の列
10 バッタあれこれ
第4章 生産活動の変化で食卓から消えた虫 森のめぐみのイモムシ
1 森のめぐみ――カミキリムシの幼虫
2 カミキリムシの食べ方
3 ファーブルも絶賛の味
4 燃料革命とともに消えた味
5 幻の味を求めて
6 薬にもなるイモムシ
7 イモムシいろいろ
第5章 絹糸産業における副産物の食利用 「御」「様」がつく虫、カイコ
1 「絹の味」は今も人気
2 『女工哀史』とカイコのサナギの食用
3 廃物利用ではなく”副産物”
4 サナギ売り
5 サナギを調理する
6 ガの成虫もおいしい
7 時は流れて
第6章 「遊び」の文化と昆虫との共存関係
1 セミはおいしい
2 ゲンゴロウ、ガムシの食用
3 川の生き物ザザムシ
4 薬として活用されたマゴタロウムシ
5 タガメの卵
6 外国と日本の昆虫文化の相似
第7章 世界一の加工技術と確立された流通システム スーパーで買える故郷の味
1 商品としての昆虫食
2 ミニ缶で昆虫食への関心を広げる
3 自然の商品化
4 森林組合の瓶詰
5 生巣を売る
6 アリチョコで潤った村
第8章 文化の多様性への「気づき」と「理解」
1 文化環境学と昆虫食
2 稲作文化を考える
3 虫を食べる授業
4 生き物を食べるということ
5 小学生の好奇心に昆虫食
授業で食べてみる!
6 イモムシを目の前にした女子高生
おわりに
文献一覧
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?