かさねの色目―平安の配彩美
平安時代の衣装の色について、書かれた本です。
平安時代と言えば、十二単【じゅうにひとえ】のお姫さまですよね(^^)
十二単は、正しくは、女房装束【にょうぼうしょうぞく】といいます。たくさんの着物を重ねて着るため、通称、十二単と呼ばれます。
その十二単の色の決め方に、規則がある、と御存知でしたか?
昔の日本人は、季節の移り変わりに敏感でした。季節によって、着る色と、色の組み合わせとを決めていました。
ただし、基本は決まっていても、それをどう着こなすかは、個人のセンスです。この点は、現代のファッションと同じです。
十二単ですと、襟や袖口から、重ねて着た服が見えますね。このため、何枚もの服の色の組み合わせを、襲【かさね】と呼びます。ここが、おしゃれの見せどころです。
いかにセンスの良い「かさねの色目【いろめ】」ができるか、お姫さまたちは、おしゃれを競いました。
『源氏物語』や『枕草子』など、王朝文学がお好きな方には、ぜひ、本書をお勧めします。
氷室冴子さんの『ジャパネスク』シリーズがお好きな方も、どうぞ(^^)
和風のものがお好きな方も、ぜひ。
アート系のお仕事をしている方には、とても参考になると思います。
かさねの色目には、一つ一つ名前が付いています。
この名前が、どれも美しいです。春の「紅梅匂【こうばいのにおい】」、夏の「蝉の羽【せみのは】」、秋の「小栗色【こぐりいろ】」、冬の「氷重【こおりがさね】」などなど。
名前を見て、センスの良さにうっとりして、色見本を見て、またうっとりします。
本書で、王朝文化の華やかさにひたって下さい。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
かさねの色目 色票
『薄様色目【うすよういろめ】』中倍【なかべ】配合の三重がさね六例
『満佐須計装束抄【まさすけしょうぞくしょう】』
『女官飾鈔【じょかんかざりしょう】』
『曇華院殿装束抄【どんげいんでんしょうぞくしょう】』五ツ衣【いつつぎぬ】単【ひとえ】色目事
かさねの色目色票に使用の染・織の色、全四十八色
I 総説
1 重色目【かさねいろめ】と襲色目【かさねいろめ】について
2 女房装束各部の衣について
3 衣に表わされる文様・地質
II 各説
1 色票に掲載の重色目の解説
春(1~33)
夏(34~55)
秋(56~94)
冬(95~100)
四季通用(101~120)
2 重色目の別説一覧表
春(1~33)
夏(34~55)
秋(56~尾花)
冬(95~100)
四季通用(101~白襲【しらがさね】)
附・重色目【かさねいろめ】全説に出現する色彩の四季別頻度
中倍【なかべ】配合の三重がさね一覧表
3 襲色目に関する『満佐須計装束抄』・『女官飾鈔』・『曇華院殿装束抄』の所説と解説一覧表
『満佐須計装束抄』
『女官飾鈔』
『曇華院殿装束抄』五ツ衣【いつつぎぬ】単【ひとえ】色目事
附・かさねの色目色譜に使用の染・織色48種と、曇華院殿装束抄に記載の彩色名との色調関連一覧表
4 重・襲の色目配色に用いられる染・織色基本色の歴史的解説
色系統の分類
〈別表〉日本色研によるトーンの分類表
附・重【かさね】・襲【かさね】の色目の色譜に用いられる染・織色の色調表示一覧表
5 色票に掲載の重色目一二〇種の表・裏色による配色の色相別・トーン別分類一覧表
6 参考文献
索引
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?