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源氏物語「紅葉賀巻」を読む

 昨日は、記事を書こう書こうと思いながらも、すぐに寝てしまった。そのため今日いくつの記事を書くことになるのか不安になる。さて、今回は「紅葉賀巻」である。この巻では、源氏と頭中将のライバル関係が鮮やかに描かれていると考える。まずは冒頭の次の描写を見てほしい。


源氏の中将は、青海波をぞ舞ひたまひける。片手には大殿の頭中将、容貌用意人にはことなるを、立ち並びては、なほ花のかたはらの深山木なり。


 頭中将は、顔立ちや態度は人に抜きんでるが、源氏には及ばないということを述べているが、その例が非常に綺麗である。「花の傍らの深山木」という。もちろん、「花」は源氏、「深山木」は頭中将。「深山木」は確かに綺麗であるが、花には及ばないのだろう。

 また、この巻では、藤壺と帝の間に子が生まれるが、その子どもが非常に源氏に似ているのである。それもそれのはず、源氏との子どもであるからであろう。しかし、それに気づかない帝の記述が次のようなものである。


あさましきまで紛れどころなき御顔つきを、思しよらぬことにしあれば、また並びなきどちはげに通ひたまへるにこそはと思ほしけり。


 帝は、源氏と息子が似ていることは、どちらも無類に優れているからと考えており、何も疑っていない。その純粋な考えこそが、藤壺と源氏の自責の念を煽ることとなる。源氏は帝に幼いころからお世話になっていた。帝が「あなたの小さいころを思い出すせいか、息子があなたに似ているように思える」と源氏に伝えると動揺を見せる。その文を紹介する。



中将の君、面の色かはる心地して、恐ろしうも、かたじけなくも、うれしくも、あはれにも、かたがたうつろふ心地して、涙落ちぬべし。


 心情描写が連続することでその動揺が明白である。この一文は本当にお気に入りである。



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さて今回もこのあたりで。夢でさえも読書をしていた自分に

恐怖すら感じた。そろそろやめたいがやめられない。

楽しむしかないなあ。

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