映画「ぼくを葬る」感想
自分の人生が残りわずかだと分かった時に
実際にどう考え、どう行動するんでしょうかね?
余命3ヶ月と宣告された主人公は、
恋人にも家族にもその事を打ち明けず、
ひとり残りの余生を過ごすことに。
生死観をテーマにしたこの映画は
共通点がまったくない主人公の話ですが、
すごくシンパシーを感じ、
感銘を受けた作品となります。
あらすじ・解説
みどころ・ポイントについて
全く共通点のない主人公に共感
フランスという土地、
ゲイというマイノリティー、
ファッションフォトグラファーという
優美な職業。
どれひとつとっても私と主人公の共通点はない。
だが、この作品を観ると
シンパシーを感じて、深く共感してしまう。
それは自身に置き換えた時に、
たぶん自分も同じような決断を下していたかも。。
っと思える主人公の心理描写がとても秀逸です。
ガン宣告をされて
残り3ヶ月あまりの余命となった主人公。
公園のベンチで深くうなだれ
静かに泣き出す。。
顔アップではなく、とても遠くからのショット。
セリフもなく、ただただ静かに泣き出す主人公。
まるでその場に一緒にいるような
不思議な感覚となる映像です。
北野武の映画のように無駄なセリフや演技はなく、
ただその場の空気をありのままに映し出す。
とても情緒を映し出す演出がすばらしい。
さすがフランソワ・オゾン監督といったところです。
ジャンヌ・モローという存在
ガンとなり、余命3ヶ月となったのに、
家族にも恋人にも打ち明けないという選択をした主人公。
ただ、ひとり。祖母だけには打ち明けます。
彼女は昔、奔放な性格から男にだらしなく
親族からも疎遠になっていた存在。
たぶん、主人公のロマンはそんな祖母に対して
親近感があり、ゆいつ打ち明けられる存在だったのかもしれません。
祖母役のジャンヌ・モロー。
フランスの名俳優ですね、、
仕草やセリフひとつひとつが素晴らしく
この映画のワンランク上に持ってきているのは彼女の功績です!
子供帰りする主人公
ガンの告知を受けたが、
入院という選択はせず自分らしく生きることを選んだ主人公。
日に日に病に侵され、苦しむ日々。
抗がん剤の影響か?ボウズになった主人公。
闘病生活ですっかり痩せ細り、
見た目はトレインスポッティングのマークレントンそのもの。
彼は最後に、子供の頃に訪れた海辺に向かいます。
途中でアイスクリームを買い、ぺろぺろ子供のように舐めます。
海辺に到着して、砂浜に腰をつき、
無邪気に海を眺めるシーン。
あ、彼は自身の子供の頃の記憶で彷徨っている!っと思いました。
彼自身記憶に強く残っているものは
晴々しい仕事の成功ではなく、
恋人との快楽ではなく、
いまの家族のなかではなく、
自身が子供の頃に楽しんだ海が
彼の最後に見たかった人生の終わりだったのかもしれません。
以上となります。
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