マガジンのカバー画像

お気に入りnote

26
スキつけた後も、結局何回も読み直してるnoteを集めました。無断で入れてますので、差し支えある場合は教えてください。
運営しているクリエイター

2021年1月の記事一覧

漕ぎだす

漕ぎだす

昔からどうにもならないときはよく水辺に行った。

海から遠いところに暮らしていたので浜辺に憧れはあっても実際やっぱり遠くて、川や湖が多かった。
なにをするでもなくただぼうっと水面のゆれるのを見たり、遠くの景色を眺めたりする。長い間そうしてひとりでたたずんで、とくべつなことはなにもなく、帰る。

ときどきは泊まる。水辺に宿をとって陽の巡りとともに色を変える水の色を見る。空の移り変わりと。木々の落とす

もっとみる
母の話。

母の話。

母は、24歳になるわたしを、まだまだよくわからない掴めない、扱いにくい娘だと思っているんだろうなぁ、とよく思う。

実家に居座る身分で言えた話でもないが、よくお風呂に長すぎるほど入っていたり、急に薄給の中10万叩いてiPadを買ってきたり、毎日そう忙しそうにもないのに帰りが遅かったり。よく掴めないと思っているんだろうなぁと思っている。

それは毎日noteを書く生活をしていて、お風呂という一人にな

もっとみる
「申し訳ございません」という呪文

「申し訳ございません」という呪文

今日、社内メールを打ちながら「申し訳ございませんが…」という言葉を多く使っていることに気がついた。「お忙しい中申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです」「ご多忙のところこのようなお伺いを大変申し訳ございません」そんなに申し訳、ないのだろうかと思いながらまた一つ、「申し訳ございません」と打った。

・・・

なんだか、最近人が遠いな、と思うことが多い。それは出勤してすぐそこにいる同僚も、リ

もっとみる
静 霧一 『ねむるまち』

静 霧一 『ねむるまち』

 乱れたシーツの上で、私は彼の残した煙草を咥え、彼からもらったライターで火を灯した。
 テレビ台に置かれた小さな置時計の長針と短針が抱き合いながら、真夜中の12時を知らせる。

 彼は、終電に間に合っただろうか。
 そんな思ってもいない心配が頭を過った。

 もう、なんで彼を好きであるのか思い出せない。
 そんな淡い恋情など、とうの昔に燃え尽きてしまった。
 彼の言葉にスキップした日々が、今じゃも

もっとみる