G.A. ヘンティの歴史小説 By England's Aid: The Freeing of the Netherlands, 1585–1604
管理人の勝手訳タイトル 「英国義勇軍:低地地方の解放 1585-1604」
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Internat Archive 無料版パブリックドメイン
著者: G. A. Henty
出版社: -
ページ数: 300p前後
発行年月: 1891年
G.A. ヘンティの小説の概要については「まとめ」ページへ。
あらすじ
主人公はジェフリー少年とライオネル少年の年子の兄弟。実在のイングランド人、フランシス・ヴィアー将軍の故郷の牧師の息子たちという設定です。相変わらず導入部は若干もたついているのと、兄弟の序盤のわがままっぷりにやや先行きに不安を感じますが、2人そろってヴィアーのペイジになってからは堅実なストーリー運びになります。ペイジとしての身分を弁えた地味な働きには好感が持てます。
他作と違って兄弟が主人公。これは途中でその意味がわかります。アルマダの海戦である戦艦に一緒に乗っていた兄弟でしたが、その最中に兄のジェフリーだけが海に投げ出されてしまいます。ここから物語は、スペインまで行ってしまった兄ジェフリーと、オランダでヴィアーのもと義勇兵となった弟ライオネルの立場で交互に進むことになります。
スペイン船に乗り込んだジェフリーは白痴のふりをして身元を隠していましたが、アイルランド人(スペイン海軍に所属)ジェラルドを瀕死の状態から介抱したことが縁で、ジェラルドの従者を装いスペインに上陸することができました。ジェラルドは恋人のスペイン侯爵令嬢イネスとの結婚を考えていましたが、父侯爵に反対されていました。恋人と駆け落ちして故郷のアイルランドに向かうというジェラルドと、一刻も早く帰国したいジェフリーの利害は一致し、2人は無事令嬢を連れ出してまずはイタリア行きの船に乗ります。
その途中、ムーア人海賊に襲われた船はなんとか撃退には成功しますが、再度ジェフリーだけが敵の船に取り残され、今度は北アフリカへ連れて行かれてしまいました。ガレー船奴隷となったジェフリーは、同じくそこで10年以上奴隷となっていたイングランド人船員ステファンと知り合います。その後2人はベイ(当地の長官)の信頼を得ますが、あくまでその自由は彼の目の届く範囲でのことでした。ある日裕福なスペイン商人とその娘が奴隷として連れて来られたのを見た2人は、父娘を救出してスペインのカディスへ逃亡することに成功します。
一方ライオネルは、ラインベルク攻囲戦、「ブレダの泥炭船」、ステーンウェイク攻囲戦など、ヴィアーに付き従ってオランダで転戦していました。1596年のカディス遠征に加わったライオネルは、カディスで商人の婿として商業的に成功していたジェフリーと再会します――。ここでだいたい20章まで。
もくじ
An Excursion
A Meeting in Chepe
In the Low Country
The Siege of Sluys
An Heroic Defence
The Loss of the "Susan"
A Popish Plot
The Spanish Armada
The Rout of the Armada
The War in Holland
In Spain
Recruiting Their Funds
The Festa at Seville
The Surprise of Breda
A Slave in Barbary
The Escape
A Spanish Merchant
Ivry
Steenwyk
Cadiz
The Battle of Nieuport
Old Friends
The Siege of Ostend
読書メモ
楽天Kobo版の表紙がオリジナルと同じでした。
2人主人公の作品。途中から兄弟それぞれ二元的に話が進んでいくのに加え、彼らの冒険は必ず単独ではなく相棒が居て、それがすべて大人なので、他作品のようにドヤ顔で手柄話をするようなシーンはなく2人とも非常に謙虚です。もともとオランダではジェネラルは1人(ナッサウ伯マウリッツ)だけ、ヴィアーでさえカーネル止まりなので、少年が軍人として出世する余地があまりないから、ということもあるかもしれません。
そのため、どちらかというと直情的にみえた兄のジェフリーのほうが、早々に商人として大成する道を選びます。ジェフリーの冒険のほうがいかにも「恋と友情と冒険」って感じで動きが激しく断然楽しいのですが、実は別にこの時代である必要性は全く無く、「カディスでの兄弟再会」の一点を除けば史実とのからみもほとんど無い内容です。
その反動としてライオネルのほうは、「ブレダの泥炭船」で若干主導的な役割をするほかは、完全に史実の羅列です。延々と戦いの趨勢の箇所が続き、「ライオネルもここに参加していた」と簡単に書かれる程度。イヴリーの戦いに至っては、ヴィアーの指揮下ですらなく、やはり全く必然性が無い。これは個人的には非常にもったいないところで、とくにヴィアーは八十年戦争期の将軍の中でも戦歴が長く最もエピソードに富んだ人物なので、いくらでも絡めて面白い物語にできたはず。むしろそれを期待していただけに、ライオネル側のストーリー運びには失望すら感じます。
ちなみにこの巻での歴史記述部分は、管理人が使ったソースと(少なくとも3冊は)同じと推測されるので、『金獅子亭』の記述ともよく似ております(笑)。
機械翻訳記事
部分的に機械翻訳記事作成してみました。見るとわかりますが、本当にこれ小説ではなく単なる概説です。ライオネル側が主人公の、台詞の無い歴史叙述部分を4記事です。
ヘンティの他作品
他にヘンティの小説4件についての記事書いてます。
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