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「お雛様の飾り方」雛人形をきれいに見せるための基本ルール② 畳

和食、茶華道、着物の着付け同様、お雛様にも飾り付けに関する基本要素があります。それは「こうしなければならない」ではなく、お雛様らしく飾り、文化的教養を後につなげるためのもの。ここではそんな基本ルールを解説しています。
 



畳の素材と柄


大河ドラマでも登場した繧繝縁の二畳台

畳の素材は「い草(藺草)」です。
 
今は主に熊本県で生産されているい草は、古来から畳表やゴザとして、日本の生活における敷物として利用されています。また、敷物のみではなく、明かり採りの燈芯(い草は別目・トウシンソウ)や、チマキを巻き付ける紐としての役割も果たしてきました。
 

・お雛様を飾る際、足元には畳を敷きます。


「親王台(しんのうだい)」と呼ばれるものです。
 
写真のような青畳、あるいはさらに良いものであれば「龍鬢表(りゅうびんおもて)」が使われます。今は、パルプを原料とした「和紙畳」というものが増えていますが、現代家屋であれば違和感なく飾れるものの、伝統的な畳を使った室内では基本的に用いません。室内の畳に合わせ、それと同等か、それよりも良い畳表を親王台に用います。
 

・縁の柄は繧繝(うんげん)


繧繝縁の畳の上に。

畳の縁についているシマシマのデザインは「繧繝縁(うんげんべり)」といいます。
 
かつては帝や上皇など、一部の高貴な方にしか使われなかった模様です。
 
お雛様は、お子様の成長を見守る大切な役割を帯びた飾りであることと、かつての宮中文化への憧れから、この繧繝縁が使われるようになりました。縦向きの菱形は、「蒸気が日の光を帯びて輝きながら天に昇るさま」といわれ、極めて縁起のよいデザインです。赤黒のものが位が高く、お人形との取り合わせによって他の色も使われます。
 
飾り付けの際には、女雛の裾がはみ出さない程度の大きさが望ましいものですが、お飾りになる場所に応じてやや小振りなものを選ぶこともあります。
 

他の素材、デザインは?


緋毛氈を意識した、朱と黒の2段重ねの木製台

基本的にお雛様の足元は畳を敷きます。(※厳密には褥台・しとねだい  というものを畳の上に置きます。)
 
しかしながら、木目込み人形や一刀彫りのような「創作雛」と呼ばれるジャンルのものは、もう少し創作的であっても良いように思います。塗りの木製台、布張りの台など、さまざまなです。
 
ただし、通常の十二単を仕立てた「衣裳着(いしょうぎ)」のお雛様は、表現として写実性を求めるものであるため、畳を使うのが正解です。木の板や、焼き物のプレートに載せるのには膝が痛そうに見え、心がこもりにくくなります。人間だって「板間に正座しなさい」と言われたらいやでしょう。創作的に飾るのであれば、木目込み人形などを選ぶのが良いと思います。

現代空間に飾ってみました。


和食の器選び同様、お雛様にも基本形があります。きちんと飾りつけることで、どんなお雛様でも良いものに見えます。

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