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「お雛様の飾り方」雛人形をきれいに見せる基本型③ 屏風その1

和食、茶華道、着物の着付け同様、お雛様にも飾り付けに関する基本の型があります。それは「こうしなければならない=マスト」ではなく、お雛様らしく飾り、文化的教養を子供たちにつなげるためのもの。そんな基本のかたちを解説しています。



▢屏風のかたち


屏風(びょうぶ)とひと口にいっても、形状、デザイン、製法が様々あります。雛道具の中でも特に歴史が古く、価格の幅も天と地ほどに開きがあります。また、雛人形をきれいに見せるために最も重要な要素となるのが屏風で、雛飾りの第一印象は屏風で決まるといっても過言ではありません。

※屏風については複数回に分けて投稿いたします。



・屏風の形状として、ベストアンサーと呼べるのは「六曲一双(ろっきょくいっそう)」


一番見慣れているギザギザの屏風。六枚の板をつなげた形状(六曲)のものを2つ並べたもの(一双)のことを、「六曲一双」と呼んでいます。多くの国宝・重要文化財の屏風が六曲一双で作られています。

お雛様を飾る際には〈人形2人分と雪洞を置く横幅〉を確保するため、六曲一双の屏風を使うのが基本形です。お人形の左右にゆったりとした空間が生まれ、自然と品良く飾れるようになります。

サイドボードの上でも

・三曲(さんきょく)は省スペースに飾るため


お雛様にあわせる屏風として、「三曲屏風」というものもあります。真ん中の板(扇・セン)を大きく、三枚仕立てにしたもので、現在では最も広く販売されている屏風です。

六曲の屏風は奥行きが必要となるために使われはじめたのが三曲屏風。やや略式な感じは否めないものの、真ん中の扇を広く使えるために彩色などの装飾が映えやすくなります。また、サイドボードの上などで飾る際には両脇の扇が間仕切りのような役割を果たしてくれるため、隣に日用品が置かれていても、空間を隔ててくれる効果があります。
 

欠点としては、両脇の扇が前に張り出るために雪洞を置くスペースが狭くなることです。三曲の屏風が出回って以降、細身の雪洞を使うことが多くなりました。

三曲屏風をコンソールテーブルで

・他の形状


他の形状として、「二曲一隻」や「二曲一双」、「四曲一隻」、「六曲一隻」「八曲一隻」などがあります。

雛人形で「六曲一隻」は幅が狭く、やや飾りにくいものになります。最近「八曲一隻」を使うことも出てきましたが、八曲は綺麗に広げることが少し難しいことと、取り扱いにも少し気を使います。昔ながらの六曲一双が扱いやすいと感じます。
 

小振りなお雛様であれば、「四曲一隻」か「二曲一双」を使うこともあります。下の写真が「二曲一双」です。人形自体が小さければ奥行問題は発生しませんし、お人形の両脇も広く使えます。

また、木目込人形などの〈立雛〉であれば、「二曲一隻」は充分に使えます。


二曲一双(くの字のものを二本)
二曲一隻

▢基本的には「ゆったり飾る」こと


本稿の最後。

屏風を使ってお雛さまを飾る際には、「左右をゆったり見せる」ことが肝になります。狭い空間にピチピチに詰め込むと、賑やかさは出るものの、お人形の良さは見えにくくなるからです。
 

ゆったり飾る方が、お人形は引き立ちます。


ですが、賑やかな方がお好きな場合は、色々詰め込んで賑やかに飾りましょう。
雛祭りはお祭りです。賑やかなのに越したことはありません。

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