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建築ビジュアル CG AI 活用法㉕ お絵描きAI『Krita AI Diffusion Plugin』+GIMP

こんにちは。STUDIO55技術統括の入江です。
今回は、プロのイラストレーター や コンセプトアーティスト にも広く使われる 高機能 ペイント ソフトウェア『Krita』について、その拡張機能として話題の『Krita AI Diffusion Plugin』を取り上げます。


Krita

Krita は、2005年に最初の正式リリース(バージョン 1.0)のあった、歴史ある デジタルペイントソフトウェア です。

画像引用 : krita.org

🤔なんて読むの?

「Krita」の読み方についてですが、日本語では「栗田(?)」と読むのは少し違和感があるかもしれません(笑)。この名前はスウェーデン語の「Krita(チョーク)」に由来しており、英語では「Kree-tah(クリータ)」と発音されます。
そのため、公式な発音としては 「クリータ」 が正しいと言えますが、日本では「クリタ」と読む人もいるので、必ずしも統一しているわけでもなさそうです。まぁ、感覚的に "クリータ" と伸ばしておいた方が、"洋風な感じ" はしますよね(笑)。

Krita AI Diffusion Plugin

「Krita(クリータ)」の開発の歴史はかなり古く、1998年に Matthias Ettrich(KDE の創設者)が開始した「KImage」というプロジェクトに端を発しています。その後、2002年に「Krita」という名称に変更され、GIMP に対抗する KDE 向けのペイントツールとして本格的に開発が進み、今日に至っています。

👉 KDE : Krita は、KDEのオフィススイート「Calligra Suite」の一部として開発され、KDE環境(Linux)での動作が最適化されており、KDE アプリケーション と統合しやすい 設計になっています。ただし、現在では Windows や macOS版 も提供されており、KDE 環境 に依存しない独立した ソフトウェア として広く使われています。

それだけに、名前だけは目にしたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。それが 最近になって「Krita」が注目を集めた理由は、ComfyUI をプラグインとして組み込み、"お絵描きができる AI機能" を提供したことにあります。

Krita AI プラグインComfyUI のカスタムワークフローをサポートし始めたのは、2024年10月27日 にリリースされた バージョン1.27.0 からです。このバージョンでは、Krita と ComfyUI を同時に起動 し、ComfyUI での変更が Krita にリアルタイムで反映される機能が追加されました。

その後、今年(2025年)の 1月18日にリリースされた バージョン1.30.0 では、カスタムワークフローアニメーションのサポートが追加され、Krita のアニメーションタイムラインと連携したワークフローが可能となりました。
Krita AI プラグイン が ComfyUI をプラグインとして利用できるようになったことで、最近になって 特に拡散されています。

💖Krita AI の魅力

Krita AI の魅力 は、柔軟な設定レイヤー管理の自由度を活かした高度な AI 活用 にあります。特に、ComfyUI を単なる外部ツールとしてではなく、Krita 内で統合的に扱える点 が大きな特徴です。これにより、生成画像の細かな調整や AI と手描きを組み合わせた創作 がスムーズに行え、直感的で自由な表現が可能になります。

⚠ インストールの注意点

インストールについては、YouTubeでも紹介されているので、それを参考にするのが分かりやすいかと思います。

インストール上のポイントとしては、デフォルトのフォルダ階層から別の階層に移して ComfyUI をインストールするところが重要です。Cドライブのストレージ 圧迫への考慮もありますが、そうしないとエラーになってしまうことも確認されているため、ご注意ください。

🧑‍🎨建築 お絵描き🎨

🖌 Live

Live に AI 画像 を反映させる "建築のお絵描き" は、特に目を惹く機能です。
セクション下部に操作画面の動画をリンクしているのでご覧ください。

動画の内容は、Live 機能 を使った 基本的なペイント操作と、Openposeを使って人物のポージングコントロールをしています。
Stable Diffusion の基本を理解していれば、この程度はすぐにできるかと思いますので、参考にしてください。

・住宅 のお絵描き

ライブペイント操作

・高層ビル のお絵描き

ライブペイント操作

・Openpose Editer を使った人物生成

openpose Edita 操作

🎞 参考動画


🖌 Depth・Refin + Rescale

ContrlNetDepth と Refine を使った 建築表現におけるデザインパターン出しの例を録画しています。

動画内容は、先ほどの ライブペイント した高層ビルの生成画像を使って、ContrlNet「Depth」で形状固定し、別デザインのパターンを生成します。
また、「Refine」では、参考画像を元に 同テイスト の建築デザインを行い、更に、参考画像に近い形状でのデザインパターンも行います。段階的に形状が近い状態で生成されていく様子をご覧ください。
最後に、その中から1つの画像を選んで、600×800 スケールの小さめなサイズの生成画像を、倍にリスケールします。

・「Depth - ContrlNet」を使ったパターン生成。

・「Refine + Rescale - ContrlNet」を使ったデザイン生成。

Refine では、参照(Refine)画像をベースに、元形状を無視した生成~近い形状での生成に至るまで、 コントロールして生成します。


🎞 参考動画


✅Krita AI vs Photoshop AI

多用途な Krita には、画像をAIで加工する機能があります。これはPhotoshopのAI機能(Adobe Firefly)と重なる部分があるため、双方の性能を比較して動画でお見せします。

・Krita AI

Krita AI

・Photoshop AI

Photoshop AI

🎞 参考動画


Krita AIPhotoshop AI のフォトリアル人物生成には、それぞれ特徴があるため、シチュエーションに応じて使い分けるのが最も効率的です。
ただし、今回のケースでは、Krita AI の使用にハードルがある場合でも Photoshop AI で代用でき、大きな差は見られませんでした。コストを抑えつつ Photoshop AI を使いたい場合、無料で利用できる Krita AI は有力な選択肢となります。

🧙G'MIC(ジーミック)🪄

画像引用 : gmic.eu

GIMP ユーザーにはお馴染みのG'MICですが、Krita ではデフォルトで搭載 されており、GIMP のようにプラグインとして追加する必要はありません。

👉 G'MIC(GREYC's Magic for Image Computing)は、画像処理向けのオープンソースフレームワーク兼フィルター集です。

G'MIC(ジーミック) の一部の機能にはAI(機械学習ベース)のノイズ除去やスタイル変換が含まれており、ここでも AI を活用した画像編集や フィルタリング を行うことができる 優れた機能性を発揮します。

下のAI生成画像をベースに、「G'MIC」のフィルタリングの一例を紹介します。

G'MIC-Qt を開始 画面

・Colors > Stereo Imafe

Stereo Imafe

・Stereoscopic 3D > Stereo Imafe

Stereo Imafe

・フレーム > フレーム [ぼかし]

フレーム [ぼかし]

・Array & Tiles > Array [Mirrored]

Array [Mirrored]

・Array & Tiles > Array [Random]

Array [Random]

・Joan Rake > Details > Bilinear Enhancement

Bilinear Enhancement

・Details > Texture Enhance

Texture Enhance

🌟Enhance 比較

(左)Livepaint generat
(右)Texture Enhance

おまけ『GIMP』情報

その昔、Photoshopに手が出せないような時代に、GIMP(ギンプ) を愛用していたことがあります。とても使いやすく好印象だったので、今もなお存在しているのがうれしいかぎりです(笑)。
現在は Photoshop の使い勝手面も大幅に向上しましたが、以前はUI画面で画像をクリックしてもシームレスにレイヤーがアクティブ反映されない等、Photoshop ならではの仕様が際立ち、GIMP からの移行には苦労を感じました(苦笑)。
それだけ GIMPの操作性が優れていた という印象です。

Photoshopの代替=GIMP
Illustlaterの代替=
Inkscape

これが、お金をかけずに制作する 鉄板アイテム でした(笑)。

"Photoshopの代替" として紹介されることが多い GIMP ですが、単なる写真編集だけでなく、デジタルペイントや画像加工、スクリプトを使った自動処理なども可能です。

無料といってあなどるなかれ、高性能な上、しかも 商用利用も可能です。

画像引用 : gimp.org

GIMP G'MIC

先ほどの「G'MIC」の GIMP用 ダウンロードサイト のリンク も紹介しておきます。

画像引用 : gmic.eu

GIMP AI

GIMP で AI を使用することもできます。
Stable Diffusion と連携した拡張機能(プラグイン)を導入することで、AI 機能が付加されます。

現時点では、Clip Studio Paint(クリップスタジオペイント)=略して "クリスタ" でも 画像生成AI 機能(ベータ版)が一部提供されていたりと、今後、続々と AI 搭載のペイントソフトが増えてくることが予想されます。

使い慣れたソフトでそのまま拡張表現が可能になってくると便利ですね。

ペイントから AI で ライブ生成 するプラットフォームも、他にもいくつかありますので、また紹介します。

では、また来週!