kindleで読んだ本
紙の本はもちろん読むが、Kindle Unlimitedにも加入しているため、なんだかんだ色々な本を平行して読んでいる。最近読み終わったのはこちらの2冊。
・『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』カル・ニューポート
・『とにかく散歩いたしましょう』小川洋子
『デジタル・ミニマリスト』
この本の存在は少し前にフォロワのツイを見て知っていた。けれどなかなか読むにはいたらなかった。
デジタルツール(主にSNSだが)を使いすぎると実生活に悪影響が出ると言われている。集中力がなくなったり、外でのリアルな交流関係を疎かにしてしまったり、また幸福度を低下させ、大事な活動から注意をそらされてしまったりと、与える影響はさまざまだ。そのため数年前から“デジタル断食”や“デジタルデトックス”などが注目されている。
私も実際そのことにとても興味があり実践もしてみたのだけれど、短期間での実行が主であることが多く、デジタルツールをあまり利用しない日を作ると反動が大きく、短期間では逆に“デジタルツールのある生活の良さ”を高めてしまうと感じていた。だからこそ私は『デジタル・ミニマリスト』をなかなか読まなかったのだ。どうせ同じ内容だろうと勝手に思ってしまっていた。
『デジタル・ミニマリスト』になる理由はひとつ。「自分の本当に大切な活動に集中するため」だ。そのために必要なのはデトックスや断食などではない。
必要なのは、自分の根本をなす価値観に基づいた、妥協のない“テクノロジー利用に関する哲学”だ。どのツールを利用すべきか、どのように使うべきかという問題に明確な答えを提示できる哲学。そして、選んだツール以外のいっさいを無視できるだけの自信を与えてくれることも、同じくらい重要な条件だ。
この文章にデジタル・ミニマリストとして生きていくためにはどうすればいいかの核が書かれている。私自身はその点がかなり曖昧になり始めていたため、全文を読んだあと、下記のようなことをした。
・不要なアプリを削除する
・無駄に増えていたアカウントを必要なものだけに絞る
・iPhoneに入っているスクリーンタイムの機能を利用し、各アプリに利用制限を設ける(これは保険)
・「いいね」を最低限にする、投稿も必要最低限で簡単にできるものにとどめる
本書に書かれている「デジタル片付け」のプロセスを参考に行うのもよいが、個人的にそれはできないだろうと考え、このような方法にとどまった。ちなみに「デジタル片付け」のプロセスはこうだ。
1、30日間のリセット期間を定め、必ずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する
2、この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を私く探したり再発見したりする
3、休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入する。その一つひとつについて、自分の生活にどのようなメリットがあるか、そのメリットを最大かするにはどのように利用すべきかを検討する
もし興味があれば実践するだけ自分に得と時間と勇気と自信が舞い降りるだろうと思う。
『とにかく散歩いたしましょう』
小川洋子さんの作品はいくつか読ませていただいているが、特に記憶に残っているのはやはり『博士の愛した数式』だ。小学生の頃に家の本棚にあるのを発見し、その文章の美しさに胸を打たれ、何度も何度も読み直したことを覚えている。
そのほかには『薬指の標本』『琥珀のまたたき』『余白の愛』、あとは『洋子さんの本棚』など、どれを読んでも静寂に包まれた文章の佇まいが素敵で、うっとりとしてしまう。
『とにかく散歩いたしましょう』は日常と小川洋子さんの頭の中とを行き来しながら文章が完成していく。普段書かれている小説とはまた違った魅力があり、よい意味できゃっきゃと声をあげて笑う少女のような一面が垣間見える。
愛犬ラブに関する記載は切れ味があるが、同時にとても深い愛情と信頼を感じる。愛犬が目で「散歩しましょう」と訴えてくる。昔から、物書きと散歩には大きな関係があると言われているが、この本を読むと、どうしようもなく散歩に行きたくなる。とにかく歩いて、歩いて、ひたすら歩き続けて辿り着ける地図にはない目的地を作家は知っていると私は思う。
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