木挽町のあだ討ち
永井紗耶子 2023年
・あらすじ
2023年直木賞受賞作!
・感想
直木賞を受賞したということで、先週紹介した『極楽征夷大将軍』とともに秋ぐらいからずっと気になっていました。今月に入り、2作品とも購入しました。
この作品はかなりドロドロしていました。殺された父親の仇をとろうと、殺めた下男を殺した話が、数年後の木挽町の人達から語られるという形で話が進められていきます。「血飛沫」や「刺す」などの単語が出てくるなどその時の様子が生々しく語られておりました。
「人っていつの時代もかわらないんだな」と感じました。自分に不都合なことが起こって、身内に害が及んだ時、相手に復讐をしようとする。この作品では暴力という形で、流血を伴う暴力で解決していました。現代はどうなのでしょうか、小さい規模のものであれば、無視や軽蔑、ネットに悪口を書き込むなどをしている人がいますよね。もっと大きなものになれば、裁判で相手を訴えて貶めたり、メディアに暴露したり。最悪の場合には暴力をふるったりということもありますよね。結局、昔も今も自分に不都合なことが起きると「復讐したい」、「相手を陥れてやりたい」と考えている人は多いと感じました。その結果が、メディアなどで取り上げられるスキャンダルなどだと感じました。
相手を陥れたいという感情は、生きているうえでは必ず付き物だと思います。しかし自分の思い通りにならないからといって、他者を巻き込んで陥れるようなことはやはり許しがたいものです。一人ひとりがしっかりと自制をして生きていかなければ、世の中は立ち行かなくなってしまうと感じました。思い通りにならないことがあっても、他者のせいにせず、しっかりと自分を律してときには妥協するということも必要だと実感しました。
最後に
今年の芥川賞・直木賞受賞作品はこの本の紹介投稿をもって読了したことになります。ハンチバックは他者には分からない自分の苦しみが描かれた作品で、世の中にはいろんな人がいる事を実感しました。また、直木賞の2作品はいずれも歴史小説で、「こんなことってあるんだ」と思いましたね。
私自身、芥川賞・直木賞の作品はしっかり読んだのは今年が初めてだったので、これで大丈夫なのかと正直心配でしたが、いかがだったでしょうか?来年の受賞作も楽しみです。
・書籍情報
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