コミュ障コンサルの「ロジカル出世術」:コミュ力なくても「目標設定」を極めれば出世できる
1.コミュ障でも「目標設定」を愚直にやれば出世できる
1-1.コミュ障には巷の出世術はハードルが高い
筆者は戦略コンサルティングを行う企業に属しているが、長期的なキャリアの目標を達成するため、今の会社でゴリゴリに出世したいと考えている。
そのために出世術に関する巷のコンテンツを漁ってみたのだが、以下のようにコミュ力・自己アピール系のコンテンツが多いことに気づいた。
(また個人的には本質的意味を理解出来ないもの(マナー系や習慣系)もまま見受けられる)
<巷の出世術に関するよくある記載(筆者調べ)>
コミュ力・自己アピール系
・気配りが出来る
・社内にネットワークを築いている
・上司とのコミュニケーションを積極的にとる、など
マナー系
・服装に気を付けている
・挨拶や言葉づかいなどのマナーがしっかりしている、など
習慣系
・整理整頓が出来ている
・5分前行動を徹底、など
ここで問題になるのが、筆者がコミュ障であるという事実だ。
社内の人とは業務遂行に関係のないコミュニケーションを出来るだけとりたくない。
今の会社での勤続年数はそこそこだが、一緒にごはんにいったりする関係の上司・同僚・後輩は1人もいない。
こんな状態のコミュ障が上記のような出世術(特にコミュ力/自己アピール系)を身に着けることは不可能である。
ということは、コミュ障が出世など夢にみるべきではないのだろうか・・・?
1-2.コミュ力なくても「目標設定」をちゃんとやれば出世できた
そんな絶望的な考えが頭をよぎったものの、とは言え出世はしたいので、自分でも出来そうなことで出世につながりそうなことを考え、取り組んできた。
そうした結果、なんとコミュ障の筆者でも、入社後5年間でアナリストからシニアマネージャーまで3タイトル分昇進することが出来た。
<コンサル会社の一般的な職階>
・アナリスト ←筆者はここから入社
・コンサルタント
・マネジャー
・シニア・マネジャー ←いまここ
・パートナー/ディレクター
本稿では、コミュ障である筆者でも出世できた要因である「目標設定」力について考察する。
業界や会社によって参考になる部分があったりなかったりするだろうが、出世に限らず「自己成長」を目的とした場合にも当てはまる部分があると思うので、そのような視点で参考になる情報があれば幸いである。
2.出世する「目標設定」の勘所
2-1.そもそも成長≒出世のメカニズムとは
まずはじめに、筆者が出世≒成長のメカニズムをどのように捉えていたかというのを前提としてお伝えしたい。
出世≒成長には以下のように3つのプロセスが必要であると考えている。
❶目指す姿を定義する
❷目指す姿に向けた中間到達点を定義する
❸現状と中間到達点/目指す姿のGAPを埋める
これらのプロセスごとに出世するための勘所を記していきたいと思う。
以降詳細を説明する予定であるが、まず全体像として、筆者がマネージャーからシニアマネージャーに昇進した際の事例をもとに、勘所をまとめたチャートを参考として共有する。
2-2.勘所❶:骨太な目標設定
まず、「プロセス❶目指す姿を定義する」の部分での勘所について記載する。
こちらは、評価のタイミングにおいてどのような状態になっている必要があるかを定義するプロセスである。
ここで勘所となるのが、会社への利益貢献につながる骨太な目標を設定することである。
このニュアンスをお伝えするために、実際の筆者の体験談をお伝えしたい。
まず、評価タイミングにおいて、どのような状態であれば昇進出来るかを考えるにあたり、狙う職位(今回のケースの場合はシニアマネージャー)が会社から求められる役割(利益貢献)から逆算して考える。
シニアマネージャーには、以下の通り、難易度が高い案件や複数案件を同時にマネジメントすることに加え、新規案件受注につながるストーリー作りや関係作りが求められる。
(売上=[受注件数]×[受注単価])
・担当案件において、リピート受注につながるような顧客との信頼関係を構築
・新規顧客開拓につながる課題設定が出来る(使える提案書が書ける)
(コスト=[メンバーの労働単価]×[労働時間])
・複数の/難易度の高い担当案件において、無駄な作業が発生しないように(良質な)仮説ドリブンな手法でプロジェクトを設計・指示出来る
評価時点においては、これらを完璧にこなせる状態になっているのが完全に理想ではあるものの、若干の伸びしろも踏まえて、少し手前で目標を設定する。
今回は、マネージャーからシニアマネージャーにかけての大きな変化である売上貢献につながる部分で、マネージャーでも結果を出しやすそうな
(売上)
・担当案件において、リピート受注につながるような顧客との信頼関係を構築
にフォーカスすることにした。
※筆者の所属するファームではマネージャーが新規顧客開拓に積極的に関われるかはアサインの運次第のところがある。
※コスト管理(複数案件/高難易度のプロジェクトマネジメント)に関しても同じくアサインの運次第のところがある。
従って、評価時点のゴール状態を以下のように設定した。
「担当する1~2案件において、次案件につながるような高満足度の案件遂行実績を残す」
このように、狙う職位が求められる会社への”利益貢献”をベースに目標設定を行うと、巷でささやかれがちな「挨拶する」「身だしなみを整える」「気配りが出来る」「整理整頓する」「上司と飲みゅにケーションする」などなどの出世術は枝葉のように思えてくるのではないだろうか。
ちなみに、次の職階で求められることは、自分だけでは経験不足で想像しにくい部分があると思うので、上の職階を経験している人に相談しながら解像度を上げていくことをおすすめする。(実際に筆者もメンターに相談しながら、イメージを具体化させていった)
2-3.勘所❷:現実的な目標分解
最終的に到達したい状態を定義出来たところで、余程のスーパーマンでない限り、一足飛びに現状からゴール状態まで到達することは出来ないだろう。
なので、現実的なステップに分解し中期目標を立てるのが現実的である。
ここでも、筆者がマネージャーからシニアマネージャーを目指した際の事例をもとに詳細をお話したいと思う。
上図の通り、筆者の場合は、半年ごとの中期目標に分解しつつ、最初の1年でマネージャーとしての基本を仕上げ、次の1年でシニアマネージャーに向けて必要な実力を悟り身に着け、後半では実績も積み上げるという計画を立てていた。
ここでポイントとして捉えているのは、弊社の過去の傾向から次職位につながる実績をいくつか上げていると昇進しやすいと感じていたので、実力をつけるのみならず、しっかり客観的に評価しやすい実績を作ることも意識した時間軸での目標設定を行ったことである。
このように、現実的で段階的な中期目標を念頭に置くことで、闇雲に高い目標を掲げ無理な努力を重ねたりすることなく、効率的に着実に必要な力を身に着けていくことが出来たと考えている。
2-4.勘所❸:1~2個程度のボトルネックに注力
目標を現実的な段階的なステップに分解できたならば、後はその中間目標と現状のGAPを埋めるだけである。
この時に筆者が勘所だと考えていることは、表面上の課題にとらわれずに、その課題の真因を深堀りした上で、本当に大事なボトルネック(せいぜい1~2個)にフォーカスすることである。
ここでも、詳細をお話するために筆者がマネージャーからシニアマネージャーを目指す際の事例を紹介する。
マネージャーに昇進して半年経たないくらいの頃の筆者は、以下のような問題を抱えていた。
・マネージャーである筆者自身も1プレイヤーとしてタスクを遂行しないと回らない設計になってしまい、全体設計や管理も合わせると業務が過多気味になっていた
・さらに案件終盤になって、重要論点の深堀りの必要性が発生し筆者自身が急遽巻き取ったりといった応急処置で高リスクな状態が発生することもあった
表面上は案件を無事着地させることが出来ていても、中身はリスクを抱えた状態であったし、シニアマネージャーに向けた高付加価値業務に充てる時間を捻出することは不可能な状態であった。
これらの問題の真因について、自分で考えたり、メンターに相談したりした結果、どうやら真因は初期仮説の構築スピードと質にありそうなことが分かってきた。
つまり、以下のようなメカニズムで課題が露呈していたのだ。
初期仮説を立てるのが遅い(そのための情報収集に工数を割きすぎる)
→タスク過多になり、マネージャー自身も作業をせざるを得ない設計になる
→マネージャーが全体の仮説の質を上げていく時間が減る
→終盤の土壇場で重要論点が発覚する
→応急処置的な対応が多くなり高リスク状態に
この他にメンバーへのタスクの振り方やコミュニケーション方針に課題があるのかとも考えたのだが、上のメカニズムが真因であるというストーリーが最もらしかったので、まずは高精度の初期仮説をスピーディに(PJ開始後1~2週間で)立てることをマネージャーになってから1~1.5年間の主な短期目標として設定した。
ここが解消されると、マネージャーとして1人前に近づくことに加え、時間的余裕が生まれることでシニアマネージャーに向けた高付加価値化にも取り組めるようになるはずと考えていたし、実際にそうなった。
たまに仕事の目標設定で、5つくらい目標を設定している後輩を見かけるが、大体は表面上の課題の裏返し程度の目標設定になってしまっている場合が多い。
5つも目標を掲げていたら、人間の限られた注意力も散漫してしまうし、そもそも真因を掘り下げると大体1~2個の自分が不得意なこと(ボトルネック)が見えてくると思っている。
ここまでしっかりと掘り下げた上で、日々の業務の中で改善に向けた短期目標を設定し、PDCAを回していくことが重要である。
(例:実際に会議で発言出来ない、リサーチで手戻りが発生するといった課題に対して、会議で発言する、リサーチで手戻りしないようにこまめに上長とコミュニケーションするみたいな目標設定をする後輩がいたが、実際になぜ会議で発言出来ないのか、リサーチで手戻りするのかを掘り下げていったところ、どちらも仮説思考・ロジカルシンキング力不足に真因があることが分かるみたいなケースがあった。この場合、本質的には仮説思考・ロジカルシンキング力をいかに上げていくかに向き合わなければならない)
3.最後に
以上、コミュ障である筆者が、自分でも出来ることとして「目標設定」に注力してきた過程で見えてきた出世のための目標設定の勘所について記載してきた。
正直、コンサル業界は各職位で求められることが割と明確な方だと思うので、他の業界・企業でどこまで有用なものになるかは見えていない部分もある。
しかし、出世に限らず、「自己成長」という観点でみれば、目標設定力は必須科目であると思うので、そのような観点でも参考になる情報があった方がいれば幸いである。
参考:目標設定シートtemplate・事例
参考までに本稿で掲載した目標管理シートの事例とtemplateをこちらに載せておくので、ご希望の方はぜひご活用いただければと思う。