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良識をみじん切りに

「まず良識をみじん切りにします」という、二度見してしまいそうなタイトルの本と出会った。
図書館にて、司書の本日のおすすめと書かれたポップとともに、目立つところに置いてあり、手にとってみた。

ページをめくってみると、最初に「この本の美味しい召し上がり方」が書かれている。
良識をみじん切りにしたら、炒めて、フランベして…  
え?どういうこと? と気になり、読んでみた。

五つのお話からなる短編集。
浅倉秋成さんの小説は初めてで、どんなテンションで読んだら良いのかわからなかったので、まずは真面目に読み始めた。
ふたつ目のお話を読み始めて、だんだん作者さんとのチューニングの合わせ方がわかってくるというか、読み方がつかめてきた。
そうすると、ある時を境に急に面白くなってきて、どこまで暴走するんだろうと話に夢中になった。

どのお話も、誰かに話したくなる破天荒なストーリーだと思った。
私は夫に話して、聞いてもらって満足した。

いつも小説を読むときは、この話は何を伝えたいんだろうと考えながら読んでいる。
「行列のできるクロワッサン」というお話は、真の幸せはどこにあるのかを考えさせられるように感じた。

みんなが欲しがって当たり前と思われているものがあり、みんながそれを得るために努力しているから、同じように追い求めてしまう。
苦しくても、みんなも同じ境遇にいることがわかると安心する。

でも、みんなが欲しがっているものが、本当に自分の欲しているものと同じだとは限らない。
まわりに左右されずに、自分の中の揺るがない幸せを見つけられるかが大事だと思った。

執着しすぎていると気がついた時、パッと手を放してみると、意外にあっさりと抜け出せるかもしれない。


最後のお話も、なかなか行き過ぎていたけれど面白かった。

新しい気付きを得たところ。

「考えるしかないんです。で結局、こんなんでいいのかなぁなんて悩みながら、納得いかないアイデアを根気よく提出し続けるんです。それがうまくいったりいかなかったりの連続です。一番よくないのは、何も生み出さないことですから」

「まず良識をみじん切りにします」より引用


この本を読んで、現実にありそうでないような、不思議な領域に連れて行ってもらった感覚を得た。

良識をみじん切りにして料理して出来上がるもの(この本を読んで受け取るもの、感想)は、人それぞれ全然違うんだろうなと思った。


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おまめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございます♪

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