豊島園近くの生活には映画館と美味い焼き鳥屋があった
住んでいる家の近くに映画館があることは、確実に暮らしを豊かにする。
そのことに気づいたのは、自分が一人暮らしをはじめて、車や電車で数十分かけて移動しないと映画を見ることができない環境に置かれてからのことだった。
育った実家は自転車ですぐの場所に映画館があったので、夕飯を食べてから映画を観に行って、帰ってきたら風呂に入ってすぐ布団に入るみたいなことができた。
それから何度か引っ越しをしたのちに、一昨年まで住んでいたのは、自転車圏内に映画館がある街だった。
具体的には豊島園のユナイテッドシネマで、コロナ禍で遠出ができなかったこともあり、何度もお世話になった。
新作が封切りされなかった時期にジブリ作品が上映された時は、もののけ姫を観に行った。
営業時間自粛の関係で早朝から映画館が空いていた時は、目を擦りながらジャングルクルーズを観た。
映画館のそばには「一輝」という焼き鳥屋があった。
映画を観終わって外に出ると、お店の入り口で焼いているからとても良い匂いがする。
狭そうな店内は賑わっていて、店員さんはすごく感じが良かった。
値段もちょうどよくて、つくねが特に美味しかった。
お店の周りや、少し歩いたところにある運動場のベンチで、奥さんと2人で焼きたてをむしゃむしゃ食べた。
今住んでいる場所は気に入っているけれど、自転車で行ける場所に映画館がないのと、個人の焼き鳥屋がない。
もしも次引っ越すときは、近くに映画館があって、帰りに寄れる焼き鳥屋があると最高だなと思う。コロッケの美味しいお肉屋さんでも良いな。
それらがあることは生きていく上での必要条件ではないけれど、確実に自分の生活を豊かにしてくれることを、僕は豊島園の近くでの生活を経てしみじみと実感した。
Fantasy Of Life / enie meenie