眠気が吹っ飛ぶだけじゃない!【昼寝】の真価と効果を最大限に引きだす実践レシピ
先日のnoteで「仮眠をとっても寝不足の悪影響は取り除けない!」みたいな話をしたところ、昼寝や仮眠に関する質問をいくつかいただきました。そこで今回は、質問への回答も併せて、昼寝や仮眠が認知パフォーマンスに及ぼす影響について現時点でわかっている知見をざっとおさらいしてみたいと思いまーす。
▼昼寝の秘めたるパワーとはいかほどか
昼寝という概念はあらゆる国や文化で確認されていて、地域によっては週に1回以上昼寝をする人の割合が80%に上るケースもあったりします(R)。それを考えると、人類にとって昼寝が単に「眠気を吹き飛ばす」「睡眠不足の影響を軽減する」といった目的以外にも様々なメリットをもたらす可能性があるといわれても決して不思議ではないでしょう。
実際、多くの研究では、短時間の昼寝をとるだけでも気分やモチベーション、活力、免疫力の向上、さらに注意力や集中力や記憶力の向上など、幅広い効果が報告されています。そしてその効果を得られるのは睡眠に問題を抱える人やシフトワーカーの人に限られず、普通の睡眠習慣を送っている人、夜の睡眠時間が足りている人でも十分恩恵を受けられる可能性があります。
しかし、実際にはどういうタイミングで、どのくらいの時間の昼寝をとるか、昼寝の効果が表れるのは起きてから何分後か、カフェインとの組み合わせはどうすればいいかなどを意識したうえで昼寝をしている人は非常に限定的でしょう。
そこで以下では、昼寝の認知パフォーマンスに及ぼすメリットを確認したうえで、昼寝や仮眠のポテンシャルを最大限に引き出すための実践的な方法をチェックしていきます。
もちろん年齢や昨晩の睡眠の量や質、サーカディアンリズム、食事の内容、運動習慣など、昼寝の効果に影響を与える要素は大量にあるし、個人差も大きいんで、「こういうスタイルで昼寝をとればベスト!」という唯一解はないわけですが、大まかなガイドラインとして使っていただければいいんじゃなかろうかと思う次第です。
昼寝は日常的に行える行動ですんで、ほんの少し現状の方法を改善するだけでも時間がたてばたつほど大きな差につながる可能性も高いですからねー。
それでは早速行きましょうー。
▼昼寝は認知能力をどれだけ引き上げてくれるのかしら?
まずは、昼寝が認知パフォーマンスにどれだけの影響をもたらすのか?を調べて実験をざっくりと確認してみましょう。
■ 8人の医学生(20~22歳)を対象に、40時間ぶっ通しで起きていた状態から30分の仮眠をとった後では、タスクの反応時間が向上した
■ 14人の健康な大人(31~52歳)を対象に、夜中に30~50分の仮眠をとってもらったところ、反応時間が早くなり、生理学的な眠気のマーカーのレベルが低下し、疲労感も減少した
■ シフトワーク中の24人のエンジニア(21~59歳)を対象に、20分の仮眠をとってもらったところ、反応時間と注意力が向上した
■ 9人の病院勤務者を対象に、30分の仮眠をとってもらった実験では、精神運動の速度が向上し、眠気が減少した。さらにその効果はシフトが終わるまで持続した
■ 12人の健康な学生を対象にした実験では、前日4時間しか寝ないように指示し、翌日15分だけ昼寝をとってもらったところ、タスクのミスが減少した
■ 17人の若者(18~32歳)を対象に、10分または30分の仮眠をとってもらったところ、活力や計算能力が向上し、疲労感や焦りが減少した
■ 高齢者を対象に、30分の昼寝と中程度の負荷で運動を行ってもらったところ、夜の睡眠の質とメンタルヘルスが向上した
といった感じで、それぞれのサンプル数こそ少ないですが、様々な状況の人間に対して、一貫して昼寝がポジティブな効果をもたらしてくれることがお判りいただけるんじゃないでしょうか。
改めて、科学的に裏付けられた基本的な昼寝のメリットを列挙してみると、
■ 眠気の減少
■ 気分向上
■ 疲労感減少
■ 計算や論理的な思考力向上
■ 情報に対する反応時間の減少
って感じで、この辺は実感としてもよくわかるところなんじゃないでしょうか。しかし十数分でこれだけの効果を得られるなら、少なくとも眠くて集中できない!みたいな時には昼寝をとらない手はないですな。
▼昼寝の効果はカフェインとどっちが強いのか?
以上の効果を眺めてみると、「カフェインでも同じような効果が得られるんじゃない?」って思った人もいるかもしれません。実際、カフェインでも同様の効果が確認されているんですが、両者を比較した実験によると、
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