句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(5)
*これまでの記事
・句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(1)【スキ御礼】
・句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(2)
・句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(3)【スキ御礼】
・句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(4)【スキ御礼】
「鎌倉花の四季」で採り上げた花を季語とした句は、牡丹、梅、桜、月見草、曼朱沙華、蠟梅、凌霄花、芙蓉、椿、紫陽花、山茶花、冬牡丹、藤、茶の花、水仙、の十五種類に及ぶ。
同書内では作者の作品が掲載されていないので、本句集の作品と著書を読み比べてみるのも花と作品の理解が一層深まる楽しみがある。
句集名でもある「千枚田」については、「あとがき」によると「人工の極致でありながら豊かな自然を実感させる棚田」の「営為と存在感に圧倒された」とある。
千枚田に限らず水田を詠んだ句も多い。
樹々芽吹く谷戸の棚田に水の音「春の雲」
春の陽を峡に積み上げ千枚田「ダムに沈む村」
雪解けの靄にまどろみ千枚田「雁のころ」
一枚は父祖の眠れる冬棚田「雁のころ」
たんぽぽや大河に果つる千枚田「写楽の眼」
*(6)に続きます。(近日投稿)
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』平成二十二年十一月号「磯村光生句集『千枚田』鑑賞」)