歳時記を旅する41〔原爆忌〕中*丸薬を色で仕分けて敗戦忌
佐野 聰
(平成七年作、『春日』)
(「歳時記を旅する41〔原爆忌〕前*広島忌すぎてざらつく夜の髭」からの続きです)
演説の最後は「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく、私たちの道義的な目覚めの始まりとして記憶されるだろう」と締めくくった。
演説の後、オバマは最初に、式典に出ていた日本原水爆被害者団体(被団協)代表委員の坪井直さんと右手で握手を交わすと、演説中は厳しかった表情が徐々に綻んだ。坪井さんが「大統領退任後も広島に来てください。核兵器のない世界に向けて、あなたとともに頑張ろうと思う」と通訳を介して訴えると、「サンキュー」とうなずいた。
句は、黒、白、赤、銀などの丸薬を小分けにするところ。歴史のある丸薬の色や形、名前は、戦争を記憶している。
(吉野直也『「核なき世界」の終着点』日本経済新聞社より一部引用)
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和五年八月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)