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歳時記を旅する58〔寒〕中*遠きものほど瞬きて寒の星
佐野 聰
(平成九年作、『春日』)
冬の宵の南の空に、どの星よりも明るい光を放つ青白い星が、おおいぬ座の口もとで輝くシリウス。その明るさは、マイナス1.5等星で、恒星の中では全天で一番明るく、距離は8.6光年で日本の緯度では最も近い星になる。
肉眼で見える太陽に最も近い星は、ケンタウルス座のα星。上半身が人間で、下半身が馬というケンタウルスの足にあたる星である。日本では初夏の宵の頃、真南の地平線上に、上半身が見えるだけにすぎない。距離は4.3光年で、シリウスの半分だが、シリウスの方が太陽よりも大きく明るい恒星なので明るく見えるのだそうだ。
句は冬の空。星の明るさの違いだけではなく、距離の違いまでわかると思えるほどに冴えわたっている。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和七年一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
☆シリウスの見つけ方。かっぱあたま さんです。