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句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(7)

*これまでの記事
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(1)【スキ御礼】
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(2)
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(3)【スキ御礼】
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(4)【スキ御礼】
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(5)【スキ御礼】
句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(6)【スキ御礼】


「人工」を詠んだ句群を望見すると、人工的なものを礼賛するのでもなく、また悲観的に文明批判をするのでもなく、自然物に対するのと同じ姿勢で対象物の写実に徹している。
それが却って人の社会活動と自然との折り合いについて読者に考えさせるようになっている。
ここまで書いて自然との折り合いは句集の全般にも言えるのではないかと気付いた。
自己と対象物が主と従の関係にあるのではなく、常に対等の関係にあり、花であれば咲くまで待ち、足元にあれば屈んで見る。
里山であれば然るべき場所まで足まめに出かけて行く。
人間と自然との折り合いのよろしさを感じるのである。

黄落や古都に七つの切通し  磯村光生

(8)に続きます。(近日投稿)

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』平成二十二年十一月号「磯村光生句集『千枚田』鑑賞」)
*引用句は本稿のみ。


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