歳時記を旅する57〔生誕樹〕中*踵なき紙の長靴クリスマス
佐野 聰
(平成六年作、『春日』)
クレメント・ムーアの詩(アメリカ:一八二二年)を絵本にした『The Night Before Christmas(サンタクロースとあった夜)』(絵=ホリー・ホビー、訳=二宮由紀子)がある。
「クリスマス・イヴ/もうだれもがねむりにつくころ/まどのそとはとてもしずかで/だいじょうぶだよぼくたちのえんとつのしたのだんろのそばには/ちゃんとくつしたがならんでつるされている/(略)/おやあのおとは…にわ?それとも…」
詩の中では、サンタクロースは妖精のおじいさん。八頭のトナカイの引いた小さな橇に乗って空からやってきて、煙突から入っていく。
絵本では、子供たちの眠るベッドの上に靴下を模した三角形の紙のオーナメントが吊るしてある。大丈夫、おもちゃはちゃんと暖炉の前の靴下に入れてくれている。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年十二月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)